感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
332
井上ひさしのごく初期の戯曲を2篇収録する。表題作はタイトル通りの平賀源内伝。もう1篇の「日本人のへそ」(主人公は浅草のストリッパー、ヘレン天津)ともども評伝のスタイルをとっている(これは井上の小説においてもしばしば見られる)。エレキテルや阿蘭陀画などのエピソード(青茶婆と「解体新書」など偽物も混じる)を連ねるが、劇の本質は源内伝というよりは、それに仮託した軽妙洒脱な言葉遊びの方にあるように思われる。舞台で見れば面白いだろうが、残念ながら戯曲として読むと真価を発揮しえないようである。ともかく井上芝居の原点。2021/09/19
ひほ
25
とりあえず予習終了。井上ひさしのデビュー戯曲。図書館で初めて絶版本を借りたかも2021/02/07
じょうこ
8
1970年、テアトルエコー新劇場のこけら落としのために書き下ろされた戯曲。登場人物延べ200人の「抱腹絶倒ミュージカル」。主演は山田康雄と熊倉一雄。口上にあるとおり「駄洒落に地口に語呂合せ」満載。昼間から、声にだして読んでると、スキャット、ブルース、ラップ‥、口が喜ぶ、心のステージが喜ぶ、脚本です。あ~、50年前の舞台を見てみたい。昔の舞台は映像が残っていないんでしょうね~。江戸時代の両国、見世物小屋もあり、まさにエンターテイメント。2021/06/09
東森久利斗
5
進撃の喜劇、喜劇の逆襲、喜劇の刃。活字のサーカス、日本語の迷宮。日本語に限界はない。猥雑で下卑、くんずほぐれつ過剰なまでの露悪趣味、時代を先取りした縦横無尽なSNS的怒涛の言葉の氾濫、クラスター攻撃。70年代を象徴するレトロな雰囲気と時代背景、歌と踊り、音楽の饗宴。舞台でこそ映える抱腹絶倒な井上ワールド、全開。観ずに死ねるか。2021/09/16
寛理
3
ここで展開される「民衆」論はちょっと単純すぎるのではないかと思ったが(たとえばブレヒトの演劇と比べるとつまらない)、徹底的に言語の表層のレベルで増殖するナンセンスなギャグがすごい。2020/08/10