新潮文庫
神田鶴八鮨ばなし

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  • サイズ 文庫判/ページ数 421p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101163215
  • NDC分類 596.21
  • Cコード C0177

内容説明

神田の生まれで負けず嫌い、曲がったことはでーきれー。そんな若者が、縁あって柳橋の鮨店に弟子入りすることに。出会ったのは、言葉で教える前に怒鳴っては蹴る頑固な親方。耐え兼ねて店を飛び出しては、周囲の人に諭され励まされて出戻る日々を経て、ついに一人前の「親方」へと成長し、独立して店を構える晴れの日が来た―。粋で一徹な江戸っ子の心意気溢れる、洒脱なエッセイ。

目次

1 江戸前鮨のはなし(私の考える江戸前鮨;サヨリに見る魚の生かし方の変化;砂糖は入れず、ごはん本来の味を生かす ほか)
2 柳橋での修業ばなし(生まれは神田紺屋町、二代続いた鮨職人;寄席、活動、本にあけくれる;お鮨がにぎれず苦労した父 ほか)
3 神田鶴八鮨ばなし(変えられない鮨屋としての基本姿勢;百売れる見困みがあっても仕入れは九十;両頬いいのは頬かぶり ほか)

著者等紹介

師岡幸夫[モロオカユキオ]
1930(昭和5)年、東京神田紺屋町で、鮨職人の息子として生れる。19歳で柳橋の「美家古鮨」で修業を始め、25歳で一人前と認められる。29歳で独立、神田に店を持ち、美味しい江戸前鮨を納得できる価格で提供することに身を捧げる。’97(平成9)年、惜しまれつつ引退。店は現在、弟子の田島道弘が継いでいる
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感想・レビュー

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めしいらず

50
働いて生きるとは我慢を身につけること。人は避けてやって来なかったことはどう転んだってできない。だから若いうちにはきつくても我慢することを、我慢させられることを、いやと言うほど経験しておいた方がいい。人は弱いからしんどいよりは楽な方が好き。でもその時がどれほど辛く感じられたとしても、振り返ると大したことではなかったと、寧ろ心から良かった楽しかったと思うはず。親方がゲンコツと共に教えてくれたのは己の領分を持ち維持することの厳しさと覚悟。修行時代の章の生き生きとした筆致がいい。人と人が密接だった良い時代のお話。2020/03/26

ねなにょ

17
江戸前鮨のはなし、柳橋での修行ばなし、神田鶴八鮨ばなしの三部構成。普段、何気なく口にしている、おすしの話もためになったけれど、二番目の修行時代の話が、一番、生き生きしていて、とても面白く楽しめた。昔、ドラマがあったようですけれど、今、昭和ブームのようなので、又、新たに、映像化しても、面白そう。2016/06/08

コサトン@自反尽己

12
昔大好きで見ていたドラマ『イキのいい奴』(小林薫主演の寿司職人ドラマ)の元になったのが今作。著者はドラマでは金山一彦が演じていたヤスオにあたる。 話し言葉で記されているせいか、時に一文が長くなりすぎて読みにくさも感じるが、それ以上に鮨を通じての人間形成や、ものを生み、売ることに対するこだわりなどを所々で感じることが出来た。 著者が修行した時期は戦後まもなく。モノが溢れ満たされた現代において、この時代から教えられ考えさせられるものは決して小さくはない。この人の鮨を一度食べてみたかった。【古】2010/09/10

西澤 隆

5
人間の根っこの強さやしなやかさは若い頃のとてつもなくシンドイ体験が培うもの。今となっては絶対に若手にさせることのできないこのやり方への「でもホントだよね」という気分は実は未だに拭えない部分がある。たぶんこのやり方は「全ての子をそれなりに」するためのやり方で、今のやり方はある意味「それでもダメな子は切り捨てていく」やり方なのではないのかなと、そんな風に思う部分「も」あります。ドラマ「イキのいい奴」の小林薫は、カッコよかったなあ。昭和の時代の職人の物語。共感できる世代はだんだん減っていくのかもしれないけれど。2019/05/20

さすらいのアリクイ

4
東京・神保町で本が出た当時、寿司屋を営んでいた師岡さんが自分の寿司屋で出している寿司、使っている具材やお米の仕込み方、自分がやってきたことを読者に語ってくれる本。読みはじめると寿司全般のことや店舗経営、師岡さんが出会ってきた方々のことなどの説明が分かりやすく書かれていて、かつ無駄がない。無駄が無い理由は本を読むと分かるはず。考え方に先進的な部分もあれば「いくら」の寿司は親方から学んでいないので…と作らないという頑固な面もある。師岡さんと接点があった出版社の方が本出しませんかと誘うのも合点がいく内容です。2024/03/18

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