内容説明
堺の豪商千宗易は茶の湯の達人として知られていた。その妻お稲は、武将三好長慶の妹であることを誇り、茶道に打ち込む夫を軽蔑していた。そんなある日、宗易は名高い能楽師である畏友・宮王太夫の妻おりきに出逢い、激しく心を奪われてしまう。互いに想いを胸に秘めながら、二人は運命の嵐に翻弄されていく…。茶聖千利休とおりきとの波乱に満ちた半生を描く感動の歴史ロマン。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922‐1999。旭川生れ。17歳で小学校教員となったが、敗戦後に退職。間もなく肺結核と脊椎カリエスを併発して13年間の闘病生活。病床でキリスト教に目覚め、1952(昭和27)年受洗。’64年、朝日新聞の一千万円懸賞小説に『氷点』が入選、以後、旭川を拠点に作家活動。’98(平成10)年、旭川に三浦綾子記念文学館が開館(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カレイ.シュウ
63
上巻は利休と正妻お稲、二番目の妻おりきとの恋愛小説の様相。当時の堺商人と戦国武将の関係、その間を切り結ぶ茶の関係は面白い。さてキリシタンの話が出てきました。利久の逸話でキリシタン関係の話は知らなかったのですが、時代背景を考えればさもありなん。作者は三浦綾子だし、下巻でどうなるのでしょうか?2019/10/28
優希
60
千利休とおりきが互いに想いを胸に秘めているのが切なかったです。2人が純粋すぎて胸が痛みました。最後の方にキリスト教のことが出てきたので、下巻はどんな展開になるのか気になります。2021/04/26
優希
48
再読です。茶道に打ち込む利休は妻に軽蔑されていたというのが意外でした。そんな中で出会ったおりきに激しい恋心を抱いてしまう利休。茶道一筋という印象が変わりますね。でも、互いに想いを秘めつつ、運命の波に飲まれていくのには引き込まれました。波乱に満ちたロマンに胸が痛みます。2023/12/14
Smileえっちゃん
47
古本処分の為の再読本。三浦綾子さん。「利休にたずねよ」など、戦国時代小説で見られる利休は、茶人として凛としたイメージがあるのですが、人間味があったのですね。下巻に進みます。2020/06/16
ach¡
30
細川ガラシャ夫人の佳作ぶりに畏敬し、同著にて明智光秀の隠れ蓑説を目にしたため利休に興味を持つ。眠たくなりそうな題名に気後れするもあっさり序盤から引き込まれる。利休の茶人としての姿より一人の男として描かれる面白さ、下手な恋愛小説より甘酸っぱい上に時代のスリルがスパイスィ♡でマイウー。人物の内面を描かせたら三浦氏の右に出る者はないと勝手に神格化しているが、本作でも見事に各々の人物を掘り下げ、巧みな心理描写にて私の心を鷲掴みにする。処女作『氷点』からぶっ飛んだ完成度をみせる彼女の手腕やっぱりダテじゃない!下巻へ2015/06/07