内容説明
結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922‐1999。旭川生れ。17歳で小学校教員となったが、敗戦後に退職。間もなく肺結核と脊椎カリエスを併発して13年間の闘病生活。病床でキリスト教に目覚め、1952(昭和27)年受洗。’64年、朝日新聞の一千万円懸賞小説に『氷点』が入選、以後、旭川を拠点に作家活動。’98(平成10)年、旭川に三浦綾子記念文学館が開館
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
592
カトリックの神髄は「沈黙(遠藤周作)」、プロテスタントの神髄は「塩狩峠(本書)」ということでチャレンジしました。テンポがとても良くページを捲る手が止まりません。中弛みしそうなタイミングで主人公を成長させ、それに合わせて神学的要素を増やしていく技法には感服しました。良い意味で主人公と一緒に成長しているような感覚に陥ります、つまり代理体験を自然とさせられます。本書を通じて3か所で目を拭く羽目になりましたが、感動や美談だけではなく、哲学書でもあると思いました。良書ではないかと思います。2022/12/03
青乃108号
481
20年ぶりの再読、のはずだったが。読んでも読んでも内容を全く憶えていない事に驚いた。何しろ確か女性が主人公の話だったはず…ぐらいにしか記憶に残っておらず、そもそもそれすら間違いであって。読み終えて今、俺は何と愚かだったのだろう、と哀しくなった。これほどの作品を読みながら何も憶えていなかったとは。兎も角、これは読むべき本だ。魂が揺さぶられた思いである。読み終えた今、人生観が変わった。今さら、この歳になって恥ずべき事ではあるが。いやいやまだ間に合うかも知れん。これからこれから。2026/03/11
遥かなる想い
449
自らの命と引き換えに、大勢の乗客を救った 鉄道職員永野信夫の話。実話に基づくこの小説は涙せずには読めなかった記憶がある。三浦綾子がつむぐ小説は『氷点』を始め心に痛い話が多く、心を洗いたい時に読んでいた…2004/01/01
ちくわ
448
新潮の100冊に毎年選出されており興味が湧き読む。前半は信夫の半生だが、各話が独立した寓話のようで教訓に溢れている。後半の北海道編…自分はすぐ泣いちゃう(笑)ので少しずつ頁を捲る。愛、信仰、献身、そして永遠の別れ…大号泣!実話がモチーフなので降水量三倍だった。 本作をキリスト教賛美のプロパガンダだ、ご都合主義だと揶揄するのは簡単だが、禁断の側面を持つ宗教や信仰心を文学として美しく織り込めているのは凄い。一方でキリスト教の精神は『愛』なのに、欧米諸国は何故戦争を繰り返すのか?世の中はそう単純では無いようだ。2024/09/12
mapion
428
前半は主人公の生い立ちが書かれ、数々のエピソードは古臭くはあるが正しく道徳的な匂いがして、今時の小説ではあまり読む事のない話に触れることになる。後半友人兄妹のいる北海道に行ってからは、主人公の原型である日本基督教団の長野政雄氏の事績に沿う話が多く続く。キリスト教者の作者が信者向けの媒体で発表したもののようですが、信者でなくても感じる事の多い小説と思います。長年「新潮文庫の100冊」に選ばれ続けている、人権学習や道徳の教材にも使われることのある小説です。2026/02/22
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