内容説明
伊藤博文も山県有朋も教えを請うた。生涯娶らず酒を好まず。安政6年10月27日、吉田松陰が従容として死に向かう…。年わずかに数え三十の青年が、明治の礎石となったこの不思議。綿密な実証なくして届き得ない歴史の本当の面白さだけを伝える不朽の傑作読み物は、司馬遼太郎を始め多くの後進作家に強い影響を与えている。下巻は吉田松陰ほか山岡鉄舟、大久保利通など六人の記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
26
著名人3人と刺客たちの話です。著者の見方が一貫しており読みやすいです。ただし種本がこちらなのかもしれませんが、著名人の部分は有名だけに流布されている話がほとんどでした。三刺客伝が面白かったです。2021/12/14
おにく
23
先日読んだ著者の"西郷隆盛"に次ぐ関連書籍で、ここでは吉田松陰、山岡鉄舟、大久保利通らの生涯が描かれています。個人的に興味深かったのは吉田松陰でしょうか。ペリー来航以前の教育者としての人物像が興味深かったです。それと、先に読んだ西郷さんの史伝で感じたのは、どの人物も"価値観の相違"として批判的に書かれる事がなかったということで、この本でもそうした姿勢が感じられました。 2018/04/03
さっと
9
維新の原動力となった松下村塾の教育者・吉田松陰、「朝敵、罷り通る」でおなじみ江戸開城の使者・山岡鉄舟、緻密な策士でありながら勇敢な実行力も兼ね備えた政治家・大久保利通、混迷の時代に「人斬り」で名を上げた三人の刺客・田中新兵衛、岡田以蔵、河上彦斎。吉田松陰の半生を読むのはこれが初めて。もっと、危ない人かと思っていたけど、「話せばわかる」「正しいことをしているのだからきっと道は開かれる」という、策を弄さない実直な姿勢は、この時代の指導者としてはだいぶ甘い気がする。死も賜る。はがゆい。だからこそ、慕われたのか。2014/01/25
魔魔男爵
7
「有馬新七」「平野国臣」「清河八郎」「長野主膳」「武市半平太」「小栗上野介」「吉田松陰」「山岡鉄舟」「大久保利通」「三刺客伝-田中新兵衛-岡田以蔵-河上彦斎」の10篇収録の歴史読み物。作者は「小説ではありません、歴史人物を紹介しただけ」と謙遜しているが、普通に歴史小説である。史実からの逸脱を避けて話を盛らないから小説ではないと語ったのだろうが、小説ならばという仮定の話のネタも少し開陳しておられます。作者の個性が出た小説の面白みは無いので、12人の中に知らない人物が居るのなら、それだけを読めばいい。私は「平2017/07/26
東森久利斗
5
歴史小説から娯楽性の高い面白さを左右する小説的要素を極限まで排した、著者独自の史伝というスタイルで綴る幕末偉人の記録。開国と攘夷、幕府と朝廷、地位や身分、思想、有名無名を問わず、バラエティに富んだ人選と内容の精度は、幕末マニア向け。参考書、研究書として一読しておいても良いかも。2019/06/03
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