出版社内容情報
極めよ、剣の道! 「剣聖」上泉伊勢守が最後に見せた奥義――。
押し寄せる武田軍によって上州は陥落寸前。死を覚悟し、最後の出陣に臨んだ上泉伊勢守に「兵法を広めよ」との伝令が……。隠居を決意した伊勢守は、剣の道を極めるため、旅に出る。柳生の里や京都で「心と躰は二にして一」という「活人剣」を標榜し、無益な殺生を拒否した伊勢守が、最後に見せた凄まじくも静かな剣技。「新陰流」の創始者となった戦国武将の勇壮な生涯を描いた長編時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
54
剣の道を極めるために隠居して旅に出る伊勢守。無益な殺傷を嫌い、凄まじくも静かな剣技を見せる。戦国武将でありながら、その精神はただ剣にのみあったのかもしれませんね。その勇敢な生涯は、剣の道の厳しさをも教えているように思えました。2023/03/16
優希
43
剣の道を極めるために隠居を決意し、旅に出る伊勢守。「心と躰は二にして一」という「活人剣」をモットーとし、無益な殺傷を拒否する精神はただ剣にのみあったのかもしれません。無益な殺傷を嫌い、凄まじくも静かな剣技を見せる戦国武将だったとも言えますね。その生き様は勇壮そのものにみえました。面白かったです。2025/03/23
Bibliobibuli
29
後半は剣豪としての上泉伊勢守の物語でしたが、剣豪としてもやはりその凄さが感じられました。池波先生の表現がすごいのでしょうが、剣と剣とが交わされる剣豪同志の戦いは、とても迫力がありました。2017/12/18
スー
22
52長野業政が病んでから始まる下巻。箕輪城陥落後武士を捨て剣士として歩み出した上泉信綱、上巻では負ける戦いは無駄とあっさり城を放棄したり単騎で突撃し混乱させてから手勢で攻撃させるなど武将として凄味を感じたけど下巻では武士を捨てた自由だからこそと剣士であって人殺しではないという徹底した姿勢の凄味を感じました。あと弟子の業政の娘の於富の武将の妻としての最後と信綱の引くべき時は引く命のやり取りはなるべく避ける姿勢の対比は考え深く感じた。守る物があるのは良い事だが執着しそれに捕らわれるのはよくない柔軟に生きる2021/04/07
しーふぉ
17
活人剣として柳生を通じて戦国末期から江戸時代へと新陰流の教えが引き継がれて行く。2021/07/10