内容説明
浅野内匠頭は吉良上野介へ刃傷におよび即日切腹となる。一方の上野介には何のとがめもなかった。“武士の喧嘩両成敗”という幕府の定法にもかかわらず、将軍綱吉の裁決は一時の気まぐれであり片手落ちだと世の反感をかう。柳生十兵衛の血をひき、将軍家から“御意簡牘”と呼ばれる秘密の鑑札を与えられている浪人・月森十兵衛は、幕府政道の“あやまち”を正すため隠密活動を開始する。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠
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感想・レビュー
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優希
49
面白かったです。喧嘩両成敗という幕府の約束事がありますが、浅野内匠頭は吉良上野介の刃傷において即日切腹となるも、吉良上野介はおとがめなしなんですね。綱吉は気まぐれだと言われるのも納得です。このことが月森十兵衛がこのあやまちを正すため、隠密として歩み始めたのに通じるのでしょう。下巻も読みます。2023/03/08
旗本多忙
23
(上巻)柳生十兵衛の血統である月森十兵衛は、江戸城留守居役・中根正冬の隠密として動いている。時は綱吉の治世、江戸城中にて赤穂藩主浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける事件が起きる。御定法では喧嘩両成敗となるのだが、公儀の裁定は内匠頭のみ即日切腹とし吉良にはお構い無しと下る。世の批判を重く見た綱吉は、吉良の屋敷替えを命じ、御府内から外の本所に移らせた‥‥これは忠臣蔵での筋となっているが、本書は赤穂藩士に味方する十兵衛が登場し、どの様に幕府を正すのかが見物かな。2017/10/10
Book Lover Mr.Garakuta
12
図書館本:再読。面白かった。2021/03/27
Book Lover Mr.Garakuta
11
この作品も、赤穂浪士の本。柳生一族の末裔の話だ。十兵衛渋い。読み処:毒殺の章の第2文節のやり取りがすごい。2019/04/07
Kira
6
図書館本。隠密活動をしている浪人の目を通して描いた忠臣蔵外伝。柳生十兵衛の血をひき、将軍家から秘密の鑑札を与えられている浪人月森十兵衛は、浅野内匠頭が起こした刃傷沙汰以来、赤穂浪士たちの動きを探っている。大石内蔵助の江戸入りに際して初めてその姿を見るが、十兵衛にとって内蔵助は不可解な人物だった。剣の達人でもある十兵衛が格好よすぎて、わくわくしながら読んだ。赤穂浪士討入りに十兵衛がどう関わっていくのか、下巻が楽しみ。 2021/01/21