内容説明
上州・沼田城の帰属をめぐり北条家と争う真田昌幸は、ついに徳川・北条連合軍と戦端を開く。出来たばかりの上田城に拠った昌幸父子は、捨身の決戦で数倍の敵を退ける。そして、旧態依然たる北条家のふるまいに嫌気がさした豊臣秀吉は、甲賀忍びの御伽衆・山中長俊の仕組んだ謀略を使って開戦にもちこみ小田原城を攻め落とす。こうして秀吉の天下統一はなったのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
209
これまでの2冊も面白く読んではきたが、この3巻に入って作品がいよいよ本領を発揮しだして怒涛の面白さ。真田家のみならずマクロな視野が入ってきて特に歴史小説を読む醍醐味に溢れる。小国が大国を翻弄したり謀略戦あり移り変わる時代の波など多角的な味わい。最後のページまで読んでも続きが気になり、当分は真田太平記から離れられなさそう。次巻へ。2017/02/04
やま
171
【再々読】 血沸き肉躍る‼‼ 真田太平記㈢ 2010.12発行 大活字文庫 豊臣秀吉の天下統一は、豊富な財力で、兵の出血を極力抑えて行う、やり方は凄いものです。ただ、天下統一後の道筋が見えないのが残念です。近親の死を受け心が相当に疲れた秀吉が、何かにつかれたように朝鮮へ兵を出す。 真田家は、上田に徳川軍を向かえ、沼田に北条軍を向かえと、大変な中で上杉景勝の男気が素晴らしいです。真田が領地を…守るために戦っている様が手に取るようにわかる描写です。特に音読していますと、感情が…、もう笑いと、涙がと大変です。2020/08/30
きむこ
136
再読。さぁ私の好きな場面(≧∇≦)真田親子が徳川北条連合を敵に回しての戦い。不利な戦いの中、知力を尽くしての捨て身の決戦で圧倒的な戦力の差を覆し相手を翻弄し退ける。この戦いの兄信幸の活躍が爽快!名胡桃城を舞台にした諜報戦から小田原の戦いまで一気に堪能!小さな勢力だった真田が豊臣という大きな勢力に吸収されて・・・。私は池波さんか描く草の者の活躍が堪らなく好きだ。大河ドラマを見ているおかげで今まではおぼろげだった勢力地図が脳内で描けてわかりやすくなったなぁ。2016/03/05
あすなろ
125
秀吉の天下統一〜朝鮮出兵に重ね、それを受け真田親子の翻弄と考えや動き、そして子2人の成長を描く巻。内容について書き出すとキリがなく横に置くが、上記要素のどれもが面白い。計539頁が勢い持って読めてしまう。今年初に読んだ今村翔吾氏の歴史小説解説本に幼き日の今村氏が全巻一気読みしたとあったがよく分かる。また、先日訪れた池波正太郎真田太平記館に依れば、当初はこれ程長く続く週刊誌連載を念頭に置いていなかったというが、その意識が変わっていった巻ではないかと思った程、池波氏の筆致も滑らかになっている気がしたのである。2024/10/30
とん大西
125
未だ壮大な物語の序盤ではありますが、初巻から絶えることない筆致の熱量には只々敬服するばかりです。で、当巻はエンタメ感てんこ盛りの趣。計略が見事にハマった上田合戦の完勝にワクワクし、名胡桃城の謀略合戦にドキドキする。秀吉や家康という大勢力を向こうにまわして腹を探りあい、牽制し、すかし、謀る。正に戦国小説の醍醐味です。そして天下統一…秀吉のもとにひれ伏すに至った英傑達。「真田丸」をはじめとする往年の大河の名場面が数多思い出されます。かりそめの平穏を享受する真田…そして斜陽の兆しをみせる豊臣。さぁ天下の行方は。2021/05/03