内容説明
なぜ映画を見るのかといえば…。人間はだれしも一つの人生しか経験できない。だから様々な人生を知りたくなる。しかも映画は、わずか2時間で隣の人を見るように人生を見られる。それ故、映画を見るとその人の世界が広がり、人間に幅ができ灰汁ぬけてくる。その逆に映画を見ようとしない人は…。シネマディクト(映画狂)の著者が映画の選び方から楽しみ方、効用を縦横に語りつくす。
目次
第1章 何を観ようかと迷ったときは
第2章 見方によってもっと面白くなる
第3章 なぜ映画を観るのかといえば
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
池波さんのほかの随筆では映画については作品を取り上げている例が多いのですが、ここでは映画の効能というか、映画を見ることでの愉しみなどについて述べられています。私が特に気に入ったのは「「観てから読むか、読んでから観るか」は問題ではない。大事なのは両者を比較する姿勢」といわれていますが、私は以前からそのような観点で観てきていますので、まさにという感じでした。2017/10/08
ゴンゾウ@新潮部
106
食通だけでなく映画通でも有名な池波正太郎さんのエッセイ集。映画を通して人間の生き方までも語り尽くしてしまう。たった2時間でこんなにも素晴らしい体験ができるのか。少々オーバーでくどいところもなくはないが池波さんのダンディズムが出ているので大目にみてしまう。2016/02/05
kinkin
80
昭和55年に出版された本。かなり歳月が経っているが書かれていることは今も通じることばかりだ。映画を楽しむということ、楽しみ方から難解といわれる映画は自分を鍛える。ポルノとよばれるものにも優れた作品が多くあること、巨匠の作品は必ず秀作にあらず、ただし美的感覚は見るべきものあり、リアリズムの意味、映画評論の読み方他、なるほどーということもたくさん書かれていた。どんなつまらない映画にもよいところがひとつはあると書かれた淀川長治さんの言葉と、著者の書かれていること、これから観る映画の参考にしたい。2017/06/25
海猫
64
なんとなく再読。昔の本なので例えに出てくる映画は古いし、時代が変わっているから今に適用できない部分は少しある。しかし言っていることは現代の映画を見るにしても十二分に通用することで、ひょうひょうとした独特の語りもあって良い。特に説教臭いのにだんだんと説教が聞き心地良くなってくるのは池波エッセイならではの芸。この本は思春期に読んだから私の血肉になっていて気恥ずかしい。でも読んだのがきっかけで本当にたくさん映画を見たし、本当に得もしたと思う。そういう意味ではこの本「読書をすると得をする」でもあるのです。2014/09/30
ちび\\\\٩( 'ω' )و ////
36
映画に関わる様々なこと、監督、脚本、俳優、音楽、衣装、撮影。〜日本、アメリカ、フランス、イギリス、イタリア等の国々の映画観。映画の選び方から楽しみ方、効用等、あらゆる題材で著者の蓄積した映画観を楽しませてくれる。総じて、映画を見ると人生の得になるという内容。見る人と見ない人では人生に大差が出てくる等、昭和54年の著作だが現代にも通じる点が多い。自分も大の映画好きなので楽しく読めた。また読み易い。最近見る映画はSFや冒険者系が多いので(汗)人生感のある映画を見なければと思いました(๑•̀ㅂ•́)و✧︎2017/07/20