出版社内容情報
記憶喪失の若侍が、仕掛人となって江戸の闇夜に暗躍する。魑魅魍魎とび交う江戸暗黒街に名もない人々の生きざまを描く時代長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
105
下巻に入ってから展開に弾みと勢いが出た上に、ドラマチックになり一気に読めた。ダークなタイトルに反して綺麗な大団円。ただし分量のわりには軽いような。江戸の暗黒街、盗賊、仕掛人といった池波正太郎お得意要素入りまくりなので各パーツに期待しすぎたかも。そこのところは重厚な書き込みがなく、むしろ装飾。単純に過去を喪失した者が新たな自我を獲得し、男として誕生する話と見るべきか。和風ボーン・アイデンティティーと解釈するならかなり良かった気もする。2015/08/16
あーさん☆GWは墓参りをハシゴしました。暑くてバテました。
67
谷川弥太郎が誰だか分かった巻。2019/11/09
yamatoshiuruhashi
55
複雑な人間関係も池波節にかかるといつの間にかすんなりと関係性を認識。右も左もそれぞれに悪党だが、人殺しをしないことを信条の男が中心に座って、「悪」の意味を抽象的に考える。記憶喪失の弥太郎さんの素性も明らかになるが、本人も周りもそんなことより大切なことが見えてくる。暗いながらもホッとする終末。ちなみに読み終わったのも週末。2024/11/01
sin
49
読者が当たり前に求める物語の結末は野暮というものなんだねぇ、だって人生にしたところでその全てに答えがあるもんじゃないんだし、例え答えを得たと思ったとしてもそれが答えだなんてその人の思い込みに過ぎないかもしれない、物事に白黒つけたって実際何も変わらなくてただの自己満足なら酸いも甘いも飲み込んで真っ直ぐ生きている方がいいよね。作者が物語を越えたところにこの結末を持ってきたのはそういうことなのだろうか?そしてその最後の有り様にじんと目頭が熱くなった。2015/05/27
icchiy
16
池波正太郎先生、初です。 そして、「闇の狩人」上下、瞬読でした^^ めっちゃ面白い!1974年の作品ですよ。これっ。いささかも古さを感じない。というか舞台はお江戸ですからな。 それにしてもよく練られたストーリー、読んでいて安定感の文章。いいですね~。 盗人の頭、記憶を無くしたお侍、香具師の親分さんを中心に大江戸の闇を描いてます。 いやぁ~またまたお江戸を描く先生の楽しみ作品群が見つかってしまった。2016/04/25