新潮文庫
秘録・陸軍中野学校

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  • サイズ 文庫判/ページ数 700p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101155210
  • NDC分類 916
  • Cコード C0121

内容説明

「謀略は『誠』なり」―欧米諸国に対して情報戦に出遅れた日本は、昭和十三年、秘密裏に工作員養成機関「陸軍中野学校」を誕生させた。軍部の因習から離れた合理的、開明的な教育は、敗戦までの僅かな間に驚嘆すべき成果を挙げるが…。諜報とは何か、謀略とは何か。出身者たちの活躍と失敗を徹底的に追いながら、戦争の裏面と工作員の実態に迫った傑作ノンフィクション作品。

目次

第1編 諜報戦の内幕(戦争とスパイ;講和に負けた日本 ほか)
第2編 陸軍中野学校の「秘密教育」(兵務局分室と海狼艦隊;後方勤務要員養成所 ほか)
第3編 開戦前夜の南方工作(淡路町謀略事務所;マレーの虎『ハリマオ』 ほか)
第4編 日米開戦と対外工作(開戦秘匿の『寿』無電;真珠湾に吹いた神風 ほか)
第5編 戦慄の国内工作(狙われた吉田茂;吉田邸に二人の女スパイ ほか)

著者等紹介

畠山清行[ハタケヤマセイコウ]
1905‐1991。北海道石狩町生れ。本名きよつら(「せいこう」は筆名)。青年時代にアナーキスト運動に参加するなどしたのちに、文筆の世界に入り、戦後初期には出版社も経営。主に実録作品の分野に健筆を揮った

保阪正康[ホサカマサヤス]
1939(昭和14)年、北海道生れ。同志社大学文学部卒業後、編集者などを経てノンフィクション作家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆかーん

68
「ジョーカーゲーム」の原本。小説は「D機関」ですが、実際は「陸軍中野学校」という名称。小説の世界と同じく、軍服を着ずにセビロで通学していたことや、面接での特殊な質問が詳細に記されています。また、「天皇」という言葉に対して敬礼を禁止され、徹底的な自由思想を与えられていた記述も…。その他に、謀略兵器を生産する工場から、様々な特殊武器が生産されていたことにも驚かされます!これらの武器を使って多くのスパイが、活動していたようです!「ジョーカーゲーム」の著者は、彼らを例にストーリーを書き上げたのでしょう(笑)2016/07/28

かおりんご

58
ずーっと気になっていた「陸軍中野学校」の秘密が、ほんの少し垣間見られた気がします。スパイ映画みたいなイメージでいると、ちょっと違うんですね。軍人なのに一般人を装い、人目につかぬよう慎ましく生活し、身分や名前を偽り、家族にも全てを明かさず・・・死ぬときは、闇に葬り去られる覚悟!お金儲けのためではなく、本当にこの国のことを憂いて、文字通り身を粉にして、戦った・・・そんな人たちがおられたことが、この本を通して分かりました。ひとつ残念なのは、話が飛んだり、内容の重複があったりする点。内容が内容だけに、読みづらさを2015/06/17

Miyoshi Hirotaka

51
軍服、敬礼禁止、天皇批判OKという軍人にとって驚天動地の学校。選び抜かれた秀才に与えられたのは徹底した自由。叩き込まれたのは、「功は語らず、語られず」、「謀略は誠」、「生き抜いて任務を果たす」という公の精神と使命感。戦争が総力戦になり百年が経過したが、わが国ではこの意味が正しく理解されていない。武力衝突だけが戦争ではない。民間船による領海侵犯、違法操業、不法入国や不法滞在、報道機関による捏造、他国の主張を代弁する平和、愛、宗教を装う宣伝や既得権擁護活動も既に戦争。大事なのはそれらに易々と乗せられない民度。2015/02/26

桜もち

43
スパイには、冷酷、卑劣、陰湿とかいうイメージがあった。が、太平洋戦争で秘密裏に活動した諜報機関「中野学校」の精神は「謀略は誠なり」。工作員なのに人間らしいところもあって、やっぱり人間なんだなと思ったりして。アメリカの諜報技術がイギリスに頼りすぎていて日本にも劣っていたという記述が意外。情報機関は戦争時だけでなく平時にこそ必要、というところに納得。2019/05/11

ちさと

42
1971年に刊行された2冊の書籍を再編集して保坂さんが文庫化したもの。工作員養成機関であった陸軍中野学校の成り立ちや作戦をメインに、諜報謀略の歴史的な流れ、また海外との差を総括的に知ることができる大変興味深い1冊でした。「精神論で推し進めた太平洋戦争」というイメージを揺らがせる緻密で繊細な作戦に驚いた。「謀略は誠なり」。中野は語らずと散っていった中野学校関係者。本書は主にそんな中野学校関係者への取材を基に書かれているようなので、どこまでが浮説や興味中心でまとめたものか、あるいは真実か、少し気になるところ。2019/05/20

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