出版社内容情報
遂に、ライバル・佐々木小次郎との命を賭した雌雄決戦! 巌流島で待ち受けるのは、勝利か死の府か――。落涙必至の最終巻。
生涯に唯ひとりの最高の敵と出会った――。出世欲に揺れ、女に惑いながらも己の剣の道を必死に磨き続けてきた武蔵の半生。憎まれ、救われ、教わり、愛した数多の記憶を胸に、お通と思いを確かめ合ったのは因縁の相手・佐々木小次郎との決戦間際だった。向かう先に待ち受けるは勝利か、死の府か――。人々の祈りを乗せていざ、船島へ! 思索と感動に満ちた圧巻の結末がここに。最高にシビれる歴史ロマン落涙必至の最終巻。
内容説明
出世欲に揺れ、女に惑いながらも己の剣の道を必死に磨き続けてきた武蔵の半生。憎まれ、救われ、教わり、愛した数多の記憶を胸に、お通と思いを確かめ合ったのは、因縁の相手・佐々木小次郎との決戦間際だった。向かう先に待ち受けるは勝利か、死の府か―。人々の祈りを乗せていざ、船島へ!思索と感動に満ちた圧巻の結末がここに。最高にシビれる歴史ロマン落涙必至の最終巻。
著者等紹介
吉川英治[ヨシカワエイジ]
1892‐1962。神奈川県生まれ。船具工、記者などさまざまな職業を経て作家活動に入る。国民文学作家と親しまれ、1960年(昭和35)年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
52
遂に最終巻。 表紙にもあるように、武蔵と小次郎の決闘がようやく訪れる。 この決闘の前には、これまでの旅路で出会った人間たちの顛末が。 又八やお通に城太郎や伊織も。 でも一番意外なのはお婆の対応かも。 言い伝えられている、武蔵がわざと遅れて島に到着し、小次郎の焦りを誘うという話。 そして武蔵の心の成長は、決闘の後の行動で分からせる。 本当に最後の決闘で幕になるので、後のことは余計な付け足しとなるのだろう。完結にふさわしい。2023/08/15
金吾
36
○長編小説は読み終えたときにジーンとするときがありますが、本作品もそうでした。巌流島の決闘をラストに持ってくることにより最後までひきこまれました。人間として道に進むのはどのようなものなのかを読めたような気がします。 2022/12/31
たかしくん。
29
(7~8巻合わせて)沢庵らの推薦にもかかわらず、武蔵が江戸の任官叶わず、一方の小次郎は豊前に迎えられ、舞台は、江戸から西に向かいます。道中、お約束のように、これまでの主要人物が随所に現れまして! 懐かしの夢想権ノ助と共に宍戸梅軒とお甲を叩きのめし…。再開した又八は今度こそ真人間になり、後に朱美と夫婦になる。色々あった挙句に、お杉おばばが、お通と和解し武蔵を許す。と、これまでのしがらみが消え、お膳立てができたところで、豊前船島での武蔵と小次郎との対戦。意外にもあっという間のエンディングでしたが!(笑)2019/06/16
ジーザス
22
あぁ〜。全八巻読み終えてしまった。最終八巻は、感動的でしたが、もっともっと続きが読みたい。武蔵もお通もお杉婆を憎んではいなかった。僕の思いは憎い憎いと恨んでましたが、お杉婆の改心には心打たれました。この巻は、伏線回収で忙しかった。今までの登場人物をより集め、ギュッとしすぎた感じがしました。壮年期、老年期の武蔵やお通のお話が知りたいと思えてきます。どんどん貫禄が増す小次郎との最終決戦は、もっと詳細に読みたかったです。色褪せない作品でした。歴史的背景を知らぬまま読んでみたかった。2024/09/26
ブラックジャケット
22
大長編の新聞小説も結末が迫る。世は軍閥政治の時代になり、武蔵の剣禅一如の思想も付け焼き刃ではもたない。武蔵の内省は深い。登場人物たちも大一番に呼び寄せられる。お杉婆との和解、お通との再会もあるのだが、生死を賭けた決戦の前では、言葉も少ない。結局、武蔵は一刻も遅れてしまうのだが、世話になった回船問屋の主人のために水墨画を描く。決戦直前の澄み切った画境が、小次郎との差になった。大詰めは一気呵成の迫力に満ちている。筆を置く最後、吉川英治の振り絞った言葉で終幕となる。誰が知ろう、百尺下の水の心を。水の深さを。 2024/03/25