内容説明
生命はなぜ、“左手型”アミノ酸だけでできているのか?生命の起源を解くカギは宇宙にあった―宇宙生物学の最前線がわかる。
目次
序章 生命は、宇宙のどこで生まれたのか―宇宙生物学の誕生
第1章 地球上の生命の起源とは
第2章 星と惑星の生まれた場所―初期の地球の過酷な世界
第3章 生命とはなにか―生命を作る物質とその仕組み
第4章 なぜ地球の生命はすべて「左手型アミノ酸」でできているのか―生命の起源を探る
第5章 地球外に生命は存在するか
第6章 恐竜だけじゃない!地球生命の大量絶滅の可能性
終章 私たち生命を形作る物質は、どこから来て、どこに行くのか
著者等紹介
福江翼[フクエツバサ]
1979年、京都生まれ。博士(理学)。国立天文台ハワイ観測所研究員。2004年、神戸大学理学部物理学科卒業。09年、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士課程修了。同年より現職。11年、第27回井上研究奨励賞を受賞。専門は天文学、宇宙物理学、宇宙生物学。とくに、星や惑星そして生命が、どのような宇宙環境で、どのようにして誕生し、進化していくのかについて多面的に研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まいこ
24
地球の生物はみんな左手型アミノ酸それもたった20種類しか使っていない、虫も野菜もヒトも。宇宙から見たら、一つの地球生命の色んなバリエーションなのかも、アミノ酸の組み立て方が違うだけの。同じ材料で出来てる仲間だからこそ、野菜や動物を食べて代謝して循環できるし、細菌に感染したりもするのだ。地球外知的生命が別のアミノ酸や右手型を使っていたり、あるいはそもそもアミノ酸を使ってなければ、相手に食われたり、感染したり、資源を取り合う心配もないのかも。45頁「宇宙の温度はマイナス170度」は、マイナス270度の間違い?2023/10/15
マーム
20
物理学・宇宙物理学専攻の著者による私たち人類を含む生命の来し方行く末を解明する宇宙生物学の書です。アミノ酸には鏡に映った人間の手のように左手型と右手型があるそうです。そして、地球上の生き物のほとんどが左手型アミノ酸からなるという事実は不思議。光の波が伝播に伴って円を描くように振動する円偏光によって、アミノ酸(もしくはアミノ酸の種である前駆体)の型に偏りができ、しかもそれが隕石によって地球上にもたらされた可能性が高いという研究結果は、SF以上にSFチックで面白い。生命は宇宙によってデザインされたと言えそう2012/02/11
caramel
18
生命の起源☆宇宙生物学『太陽系の外に生命は存在するのか』という問題に取り組んでいる。最近は系外惑星が次々に発見されている。新たな望遠鏡も計画されていて、近い将来、大きな発見が期待できそうである!地球上の生命は、なぜかほとんどが左手型アミノ酸でできている。アミノ酸は隕石によりもたらされたと考えられ、アミノ酸の偏りは円偏光によって生じることがわかっている。宇宙人は本当に存在するのか。SFのような本当の世界があるかもしれない。太陽系外の「知的生命体」が発するシグナルを探そうという試みもしてるらしい。[2011]2014/03/11
tetsu
16
★5 生き物の体を構成するタンパク質。その部品であるアミノ酸は光学異性体の片方のL型しか使われない。 その起源をたどると宇宙由来ではないか? アストロバイオロジーという分野です。 生命を維持するためには、細胞膜で仕切られた内と外で物質を移動させる代謝が必要で、そのためには細胞は液体で満たされていなければいけない。液体の水が存在するためには恒星からの適度な距離が必要。地球外生命を探すために望遠鏡で水が発する電磁波を探す、などなど。 生命と宇宙、知的興味をそそられる良書です。2018/03/08
プレイン
13
地球上の生命は植物も動物も左手型アミノ酸で成り立っているらしいが、アミノ酸を生成すると右手型、左手型ともほぼ同量できるらしい。左手型に偏っているのは円偏光を当てるとどちらかの型への偏りが生じる。宇宙生物学というまだ始まったばかりの学問の入門書。広く浅く紹介してくれるが、深みないため読み物としてのワクワク感が少ないかな。この書をきっかけに読み進もう。2015/05/23