出版社内容情報
黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。
内容説明
黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923‐1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた’60(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。’93年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72
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感想・レビュー
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雪風のねこ@(=´ω`=)
165
記憶力は良いけど礼儀知らずで人当たりが悪く本能的に女が怖いとくると伊之助が、ヘッセ著車輪の下のハンスに見えてしまう。出戻りの舟で死ぬ様な思いをしたから少しは治ったかに見えたけれどまだまだの様。でも不器用故に応援したくなるのも然り。谷崎潤一郎著細雪でも感じたが人物に当時の世相を重ねていると思う。頭でっかちで子供っぽい伊之助が、当時の日本を表していると感じる。司馬著作はとにかく心理描写が深く多彩で、登場人物が多い程、深く広く表されるんだけれど、大きな魅力と言える。(続く)2017/09/03
Die-Go
101
幕末の御典医であった松本良順、その師ポンペ、良順の弟子であり従者である記憶力の天才島倉伊之助を中心に、幕末の医療が明治維新にどうかかわっていったかを描いている。教科書上には出てこない人物達でありながら、魅力的に描くのは司馬遼太郎の真骨頂。楽しんで読んでいきたい。★★★★☆2016/06/08
むーちゃん
91
一巻読了。 松本良順長崎へ。 伊之助どうなる?2019/12/29
優希
87
蘭学という医学でそれまでの医学を覆したドラマなのだなと思いました。それは漢方から蘭学へと必要性が移っていったからなのでしょう。松本良順とその弟子・島倉伊之助が如何にして江戸幕府の中で蘭学を学んでいくのか。続きも読みます。2018/12/30
さつき
77
幕末物を読んでいると頻繁に登場する松本良順。どんな人なのか気になっていて、ずっと読みたかった作品です。蘭方医の子として生まれたけれど漢方を旨とする奥御医師の家の婿になる。前半の自らの志向を殺して生きている様子には同情します。が、何といっても伊之助!一巻は彼の変人ぶりに全て持っていかれてますね。周囲の人の思惑や空気を読まないばかりか、挨拶もろくにできない。彼自身は意図していない無作法から、関わる人々には嫌われる。さぞ生き辛いだろうと思うけれど本人は案外気にしてないんですよね…この先の展開も楽しみです。2018/03/31