内容説明
戦国の争乱期に遅れて僻遠の地に生れたが故に、奥羽の梟雄としての位置にとどまらざるをえなかった伊達政宗の生涯を描いた『馬上少年過ぐ』。英国水兵殺害事件にまきこまれた海援隊士の処置をめぐって、あわただしい動きを示す坂本竜馬、幕閣、英国公使らを通して、幕末の時代像の一断面を浮彫りにした『慶応長崎事件』。ほかに『英雄児』『喧嘩草雲』『重庵の転々』など全7編を収録する。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923‐1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。’93(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むーちゃん
161
伊達政宗、時代と地理的不利がなければ・・・ 個人的には青葉城の天守閣再現したらと思います。2017/08/08
優希
103
面白かったです。戦国時代や幕末が時代背景になった短編集。時代の流れが少しでも違えば英雄になれたかもしれない人々のことに思いを馳せてしまいます。悲しさとおかしさの中から感じられる切なさがいいですね。2018/01/26
drago @棋聖戦堪能中。
80
①英雄児:長岡藩河井継之助。②慶応長崎事件:海援隊士菅野覚兵衛。③喧嘩草雲:足利藩田崎梅渓。④馬上少年過ぐ:伊達政宗。⑤重庵の転々:伊予吉田藩山田重庵。⑥城の怪:浪人大須賀万左衛門。⑦貂の皮:賤ヶ岳の七本槍・脇坂甚内。 ◆興味深くて濃密な短編ばかり。さすがは司馬先生。 ◆①と④がマイベスト。特に④、伊達政宗の父・輝宗が凄絶な最期を迎えるシーンに胸を打たれた。 ①は、長編版『峠』を読むのが楽しみだ。 ☆☆☆☆2024/03/12
やっちゃん
76
司馬遼太郎に短編があるとは。後の長編のプロトタイプが多いのかな?短くまとまっててすごいいいと思う。表題の政宗と𧲸の皮がよかった。2024/01/12
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
76
伊達正宗の生涯を描いた表題作を含む短編集。名将伊達政宗はなぜ天下を取ることができなかったのか?信長、秀吉、家康などの天下人に対して決してその能力が劣っていたとは思えない。そうでなければ、東北の雄として勢力を持つ事などできなかったであろう。ただ、生まれた場所があまりにも都から遠く、ほんのちょっとだけ三英傑よりも後に生まれてきたためであろう。★★★
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- 和書
- 父帰る 岩波文庫