内容説明
四国西条藩主の家系でありながら双子の弟に生まれた英三郎は、7歳で浅草の寺に預けられる。英三郎は市井の浪人として成長するが、思いがけない偶然の重なりから、知らず知らずのうちに西条藩の御家騒動に巻き込まれる。その中で英三郎は己の出自を知り、騒動を操る藤巻右京と大老・酒井雅楽頭に闘いを挑んでゆく。戦時中に刊行され、戦後長く埋もれたままとなっていた幻の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のびすけ
26
戦前、新聞連載で発表された娯楽長編。伊予西条藩のお家騒動に巻き込まれる浪人乙貝英三郎。物語の舞台は海を越えて遠くマカオまで広がり、英三郎の活躍と宿敵藤巻右京との闘いが繰り広げられる。壮大な冒険活劇風の物語で、いつもとは趣きの違う周五郎作品を堪能しました。本作は戦後長く埋もれていて、周五郎作品復刻の最後の一冊として文庫化されたそうで、その経緯が解説に記されて興味深かった。2024/02/10
cape
18
山本 周五郎の幻の長編は、西条一柳家のお家騒動に活躍する英三郎の物語。政治あり、恋あり、剣劇ありで、市井の生活ありの山本周五郎ワールド満載。終盤は海外に飛躍するストーリーは当時の時代背景に影響されたかと思うが、珍しい展開。比較的初期の作品ということで、その後の長編に通じるところがあるが、いずれにしても山本周五郎の魅力がつまった大作だった。いろいろ突っ込みどころはあるが、久しぶりの山本周五郎に私は満足。2018/07/15
baba
11
戦時中に書かれた作品。藩主家系にありながら双子の弟ということで市井の浪人として暮らすが知らず知らずお家騒動に巻き込まれる。読みやすく面白いが後半海外に話しが広がっていくのが突飛で面白みが半減。2014/11/26
フーミン
8
第二次大戦前の日本人の心情がそこかしこに表れており、まことに勇ましい作品です。人情話が恋しい・・・2016/03/31
りんご
6
この物語は舞台を東南アジアまで広がっていきます。痛快時代劇です。2022/03/22
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