感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
97
やっぱり周五郎はいいですねぇ。面白いです。泣かせてくれます、ほんのリ笑わせてくれます。趣の異なる11編の短篇集。全編感想を書きたいほど粒ぞろいです。表題作【花匂う】が爽やかで好きです。悲恋の淵から25年の歳月が過ぎ…二人の想いが叶う。その成就の陰には親友の友情があった。胸にじんと来る恋物語、感動作です。周五郎の人物描写は味深い。とりわけ女性の描写は、藤沢周平に較べると無骨なのだが色っぽく著者独特の味を感じます。心に残る短篇が満載のおススメの一冊です。2017/01/08
タツ フカガワ
58
15年ぶりに再読。短編11話を収録(うち2話は現代物)。なんといってもよかったのは表題作。わずか32ページながら、部屋住みで結婚も許されない瀬沼直弥と隣家の多津との15年にわたる恋物語であるとともに、藩内の政争を背景にした若者の成長譚の色合いもあるドラマで、濃密な世界を楽しみました。同様の余韻は「蘭」も。滑稽物では「明暗嫁問答」。ほとんど会話劇で、こういうの周五郎さん、ホントうまいなあ。2026/01/11
nakanaka
56
11篇から成る短編集。表題作の「花匂う」が特に面白かったです。武家の次男坊の話は山本作品や藤沢作品でよく取り上げられるのでお馴染みで、不遇の部屋住み人生ですね。当時の自由が利かない社会制度では如何ともしがたい現実だったのでしょうね。この作品の主人公・直弥のように周りの友人に恵まれたり能力があれば取り立てられることもあるのでしょうがほとんどが志半ばの人生となってしまったのでしょうか。切ない。また、たまにある山本作品の現代劇「出来ていた青」も印象に残りました。本格推理小説で斬新でした。2026/07/25
優希
52
面白かったです。人生の深いところをついていて、情感溢れる短編集でした。長編にしたらどのような作品になるのか気になる作品ばかりです。2021/12/26
キムチ
45
山本作品に多い「不条理」の世界を描く短編が主になっている。切なく、身をよじる想いの情景が広がって行く。そこに香る花・・そして雨。私にとり全くワンパターンではなく、永遠に読んで行きたい「時間」に触れさせてくれる。一番よかったのは表題の「花匂う」 周五郎は好んで料理茶屋での話し合いの場面を用いているけれど、庶民には使える値段だったのだろうか・・武士が好んで使っている事は分かるけど。2020/06/27




