内容説明
恋は、予想もしないところから訪れて、わたしを塗りかえてゆく。ずっと待ちつづけたあの人の影。禁じられたからこそ、燃えあがる感情。背筋を貫いた忘れられぬ快感。しずかに甦る、出会ったときの熱―。結ばれて、喪って、また新たな鼓動に気づく。あなたへの想いは星座となり、やがて雪空へと溶けてゆく。『海猫』『余命』で絶賛を浴びた著者が描く、切なくて甘美な六色の恋愛模様。
著者等紹介
谷村志穂[タニムラシホ]
1962(昭和37)年、札幌市生れ。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。’90(平成2)年、ノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』で、女性を中心に大きな支持を集める。’91年、『アクアリウムの鯨』を発表し、小説家としてデビュー。2003年、『海猫』で、島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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柊文庫本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
104
北海道出身作家谷村さんの6編からなる短編集です。島清恋愛文学賞作家さんならではの、とにかく切なくビターな恋愛模様を叙情的に綴ります。正直、明るい話はありませんが、しっとり&じっくりと静かな読書時間に浸りたいにはオススメの一冊かなと。10代や20代ではちょっと響かない世界観かもしれませんが、作者さんが何気なくさらさらと描く男女の距離間は、さすがの描写でした。夫とは、妻とは、そして夫婦とは、家族とはとあらゆる視点から色々と考えさせられる深い一冊でした。谷村さんならではの北海道らしい描写もまたステキな一面です。2023/11/19
アッキ@道央民
34
【北海道出身の作家を読むコミュニティ】女性を主人公にした恋愛小説短編集。ハッピーエンドでは無く、ちょっぴり切なくなるようなお話し。小樽や越後湯沢など雪が降る情景と共にひんやりした感じも伝わってきます。表題作の『雪になる』は郵便屋さんとの恋のお話しですが、雪の小樽の情景は上手く描かれていると感じました。切なくなるような出来事も真っ白な雪が覆い隠してくれる。そうあって欲しいな♪桜木紫乃さんの作品にも雰囲気が似ているような気がするのは私だけかなぁ。2015/01/19
June
33
北海道の海辺や新潟の豪雪地帯が舞台の短編六編。文章は読み心地が良くて好みなのだか、そういう展開はあんまり好きじゃないなあと思う場面がちらほらと出てくる。全体的にホラー仕立てにしたいのだろうか?「かさかさと切手」北海道の海辺に住む少女の心の移ろい、「ここにいる」死んだ父親が自分の幼い娘の絵に何度も画かれる話、「ねじれた親指」秘境に住む少年に訪れたロケ班がもたらしたざわめき等、とても読ませる魅力がある。でも、なんだか寂しくて哀しいのだ。2018/01/08
巨峰
25
雪降る夜に読んだ。谷村さんの小説のタイトルは本当に素敵。6つの短編小説集なのだが、読み通してわかった。これは行き止まりの小説だと。SMビデオのモデルになる女も、切手を集める趣味の若い女も、上等な玩具になる女子高生も、雪に埋もれて郵便配達を待つ女も、みんな途方にくれている。白い雪が冷たく静かに埋めてくれればいいのにと。2011/02/15
なつ
20
静かな切なさと苦しさが同居しているような恋愛短編集でした。淡々と物語は進んでいく。胸の内を静かに見つめるようなそんな余韻。2015/09/01