内容説明
16歳で忽然とこの世に現われた謎の少年、カスパー・ハウザー。カッコー時計を背中にしょって売り歩く、〈時〉の行商人たち。絵本の街ツェレのショウガ酒。ウィーンとハンブルクで回りつづけるふたつの観覧車。テントの光に誘われてふらりとはいったサーカス小屋で体験した、不思議な一夜―ファンタジーの羅針盤を手に、夢と幻想のヨーロッパを歩く、エリコのロマンティック通信。
目次
墜落した少年
時計売り男とネズミ捕り男
絵本の国の蒸留酒
青いサーカステントの夜
観覧車は時代をめぐる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きたくり
2
◎再読。ドイツ旅行記。19世紀に実在した謎の人物カスパー・ハウザーのことを書いた「墜落した少年」がすごく好き。私の中ではカスパーハウザーといえば楠田枝里子を連想するほどこれが心に残っている。カスパーの数奇な生涯と、時間を超えて彼の気持ちに寄り添うような筆者の言葉にやっぱり胸がいっぱいになる。2010/09/24
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2025/04/13
mabel
1
16世紀ドイツ。ある日忽然と街に出現した少年カスパー・ハウザーをめぐる謎の他、素敵な短編が詰まった本。楠田枝里子さんって素敵な旅人だなと思いました。一緒に旅をしてみたい。30回以上は読みました。
coco.
1
世界まる見えの元司会・楠田枝里子さんによるドイツ旅行記。有名だから寄ってみる観光スポット記ではなく、絵画史に触れるなど教養高く密度の濃い内容。新旧問わないドイツ絵本好きに加え、お酒にもお強いので、向かうのは景観が美しい古街や、不可解な歴史の謎が残る街。お酒を求めて酒場に食事処に足を踏み入れては現地の食に舌鼓。文化に溶け込み会話しながらも、出自は高貴で亡国の王子であったとされる世間を騒がせたカスパーハウザーの生涯や、ハーメルンの笛吹きの舞台の街に想いを馳せる。お伽の街ツェレでは、想像力が掻き立てられました。2012/11/05
hana.
1
知らずに読んで、物語だと思っていたら旅行記だった。しかも、自分がずっと、いつか行きたいと思っていたドイツ。なんだか嬉しくなった。表題作と、カスパーの話が好き。作者の感性と、なによりも勝る好奇心の強さに圧倒される。出向く先々で物語そのものの旅をできる人だ。またふつふつと、旅に対する憧れが湧き上がってきた。2010/10/23