新潮文庫<br> 日常生活の冒険 (改版)

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新潮文庫
日常生活の冒険 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 473p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101126067
  • Cコード C0193

内容説明

たぐい稀なモラリストにして性の修験者斎木犀吉―彼は十八歳でナセル義勇軍に志願したのを手始めに、このおよそ冒険の可能性なき現代をあくまで冒険的に生き、最後は火星の共和国かと思われるほど遠い見知らぬ場所で、不意の自殺を遂げた。二十世紀後半を生きる青年にとって冒険的であるとは、どういうことなのであろうか?友人の若い小説家が物語る、パセティックな青春小説。

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935(昭和10)年、愛媛県生れ。東京大学仏文科卒業。在学中に「奇妙な仕事」で注目され、’58年「飼育」で芥川賞を受賞。以後、常に現代文学の最先端に位置して作品を発表し、’94(平成6)年、ノーベル文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

41
同時期の他の作品と印象が異なる。ひとことでいうと明るく、文体が簡易で、物語が表層的だ。斎木犀吉(サイキ・サイキチ)普通は苗字と名前で音を重ねない。表面をツルっと滑り落ちそうな命名は寓話的だ。主人公は犀吉の先妻・卑弥子に揶揄われて眼鏡を外すようにした位で、犀吉を横で見ているだけで何もできない。犀吉とて安定期の戦後社会で破天荒な彼に似合う冒険は残されていない。第2部の終わり、卑弥呼との別れの場面。何日も風呂に入っていなかったために、凄い匂いと飛び散った汗粒と共に去っていく。別れを確かめた訳ではないが、彼女を探2024/11/18

メタボン

27
☆☆☆☆☆ ペシミスティックなのに独特なユーモアがあるその文体に何よりものめり込んでしまう。どうしてこんなに面白い文章が書けるのか。斎木犀吉に訪れる二つの悲劇、鷹子の流産と暁の事故死(犀吉が暁の白血病を哀れみジャガーで轢くことで安楽死させたかと思わせるかのような、そしてその予兆として安楽死が成立する6つの条件をぼくに尋ねていた)、そしてブージーでの縊死と、犀吉は何事もなしえないまま破滅へと突き進み、作家であるぼくは、それを「日常生活の冒険」として、祖父(おじじい)に言われた「観察力」を意識して語っていく。2019/01/27

壱萬参仟縁

12
1964年初出。女の快楽にくらべると男の快楽は5分の1(27頁)。高度経済成長下なのか、時代的文脈を反映しての生産的な感じの作風なのか。今でいう肉食系な描写で、草食系ではない感じ。資本主義のブタ(108頁)という比喩は考えつかない。結構、豚は誹謗の対象なのか。いや、豚は栄養がある。高度成長して、所得が上がり、消費も上がってくると、各種の欲望が解放されていく。現代の人口減少とはまるで真逆だ。少子化対策というが、もう少し、文學作品を読み直して、真の愛情とは何か、男女関係の本来あるべき姿とは何か、問う時代かも。2013/06/07

いっち

11
冒険的なことを試みたが、なにひとつ達成できなかった人の伝記。所々で読むのを挫折しそうになった。が、最後まで読めたのは物語の内容よりも、魅力的な登場人物を追っかけたかったからだろう。「おれはここにいても、どこかに行っても同じなんだよ。どこかへ連れて行ってくれる人がいるんだから、ついて行ってみようと思うんだよ。」2015/11/11

mak2014

9
久々の大江健三郎。なんとも評価しづらい一作。まず、登場人物の名前。犀、雉、鷹、獅子。現代の寓話なのだろうか。現代(1960年代前半の時代設定)では冒険をすることはもう無理と言うことなのだろうか。主人公の価値観、倫理観をゆさぶる斎木犀吉。彼が異国の地で自殺したとの報を受けて、主人公の小説家が彼との関わりを振り返るという形式。犀吉にそもそも魅力を感じない。大きなことを言っていても、何も成し遂げず、若い妻を捨てて年上の金持ちに乗り換え寄生していたり、最期も外国人の金満家の女性と一緒にいたりと……。2016/12/13

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