新潮文庫
聖少女 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 298p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101113098
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

交通事故で記憶を喪った未紀が、事故前に綴っていたノート。そこには「パパ」を異性として恋した少女の、妖しく狂おしい陶酔が濃密に描かれていた。ノートを託された未紀の婚約者Kは、内容の真偽を確かめようとするが…。「パパ」と未紀、未紀とK、Kとその姉L。禁忌を孕んだ三つの関係の中で、「聖性」と「悪」という、愛の二つの貌が残酷なまでに浮かび上がる。美しく危険な物語。

著者等紹介

倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935‐2005。高知県生れ。明治大学仏文科に在学中の1960(昭和35)年、同校の学長賞に応募した小説「パルタイ」が入選。選者の平野謙に文芸時評で推奨され、また芥川賞候補ともなった同作で、’61年の女流文学者賞を受賞。’63年には、その作家活動により田村俊子賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ヴェネツィア

198
倉橋由美子らしい小説だ。この小説を読んでいると、自分が称している「愛」などという言葉が陳腐で、いかにも小市民的な価値しか持っていないかを思い知らされる。主人公の未紀は、まさしく「ぼく」にとってのFemme fataleそのものだろう。どこまで行っても捕まえることはできない。そもそも彼女は最初から愛の不毛の中に生きていたのだから。また、この小説の持つ強い時代性(70年安保以降の時代)も、こうした回顧の中ではある種の普遍性さえ帯びてくるようだ。2013/10/03

遥かなる想い

186
読んでいて文学性が高すぎてよくわからないことが あるが、本書もそういう読後感だった。難解な本を読んでいる自分が好きで読みながら実は良さが全くわからなかった典型であった。登場する少女の陶酔が生々しすぎて拒否反応があったのかもしれない。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

166
今日は朝から気持ちよく晴れていたので、死ぬのによい日だとknifeを買いに行きました。路面電車に乗るとカアテン越しの陽射しを受ける姉さまが美しくて唇に淡く口づけ。 友達のMはレズビアン。いつも私の唇をいやらしい目で舐めまわすので軽蔑の意を隠し優しく微笑んで誘惑。婚約者のKは実の姉と恋愛あそび。「愛」なぞというものを高尚に騙ります。 私はひとり?いいえ、私にはパパがいますもの。knifeをハンドバッグに偲ばせて、パパとふたりきり防波堤から船に乗ります。死へのハネムーン。 という夢を見た真夏の白昼夢、どこから2019/07/29

かみぶくろ

124
高価な赤ワインでもそんなに飲み続けたらさすがに二日酔いになりまっせ、みたいな話だった。芳醇な香りが漂う文章に包まれた少女の通過儀礼ものだが、鋭敏過ぎるその神経の細やかさに、あぁ思春期、とムズムズする息苦しさが甦る。感性が前面に押し出されている小説だが、認識は深く教養は広い、左脳でじっくり書かれてる感が満載。近親相姦を巡る「聖性」と「悪」みたいなテーマは共感が難しいが、どこまでも「純粋」な、聖なるオーラみたいなものを確かに感じた。2016/07/31

優希

93
少女小説でありながら、甘く危険な官能小説でもある美しさがありました。「パパ」を異性として愛した少女の想いの禁忌は単なる近親相姦に終わらないのがこの物語の魅力と言えるでしょう。聖性と悪の相反する愛の貌に引き込まれずにはいられませんでした。2018/04/27

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