新潮文庫
松本清張傑作選 憑かれし者ども―桐野夏生オリジナルセレクション

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  • サイズ 文庫判/ページ数 430p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101109763
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

甘美な匂いに惹かれ、男と女は暗闇へ堕ちてゆく。鬼畜と化した宗吉。社長秘書の秘められた貌。現代文学の旗手が選んだ5編を収録。

憑かれることを書くとは、欲望を滾らせた人間の姿を書くということである――桐野夏生。本宅、愛人宅の二重生活の軋轢から、鬼と化した宗吉。社長秘書を務める独身女性・花江の隠された貌。愛欲、金銭欲などに囚われ、暗闇に続く道へ踏み出した男と女。彼らの生を鮮やかに切り取る5編を、現代文学の旗手がセレクト。「発作」「鬼畜」「馬を売る女」「密宗律仙教」「赤いくじ」を収録。

内容説明

本宅、愛人宅の二重生活の軋轢から、鬼と化した宗吉。社長秘書を務める独身女性・花江の隠された貌。愛欲、金銭欲などに囚われ、暗闇に続く道へ踏み出した男と女。彼らの生を鮮やかに切り取る5編を、現代文学の旗手がセレクト。「発作」「鬼畜」「馬を売る女」「密宗律仙教」「赤いくじ」を収録。

著者等紹介

松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。福岡県小倉生れ。種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

103
桐野さんの編纂による清張のアンソロジーです。ひとつの中編(「馬を売る女」)と4つの短編です。この作品も他のと同様に時代性を感じるのですが、やはり中編と「鬼畜」が読みごたえがありました。「馬を売る女」は1970年代に日経新聞に連載されたもので私は毎日欠かさず読んだものでした。競馬に関する情報を売るということで今では考えられないような連絡方法です。「鬼畜」は映画にもなって私もみましたが、普通の人物が代わっていく様子を描いていて緒形拳の怪演が今でも印象に残っています。2023/05/01

キムチ27

64
凄すぎる!やっぱり、昭和☆みな再読だったが「桐野チョイス」という冠の意図はバッチリ。「発作」説明不可の鬱屈^軽々と閾値を超える人間の怖さ「鬼畜」弱ければ人間に毒が瞬時芽吹く怖さ「馬を~」欲望が人間の在り様を如何にでも変異させる怖さ「赤いくじ」高貴な存在が一転して娼婦。一幅のショートフィルムを視る様な展開の見事さ「密宗~」これが迫力。淫逸の語、初めて聞く!武次郎、岐阜の土地性、中年の女性・・目に浮かぶ様な。昔いた殿山泰司を思い出した。感情鈍麻の女性って・・ある意味存在が無気味。今は伝説になった昭和の小道具は2020/07/04

竹園和明

45
【再読】日々の暮らしを圧に耐え生きる人や飽くなき欲望に憑かれた人々。彼ら彼女らが臨界点を越えてしまう瞬間を綴った松本清張の作品を、桐野夏生がチョイスした5編。昭和30年代の作品「鬼畜」の野蛮さは何度読んでも衝撃。だが親が子を殺める事件は今でも実際に起きている。いつの世も人を狂わせるのはカネと欲。印刷工が新興宗教の教祖となり色と欲に浸る「密宗律仙教」。終戦後、米兵に慰安婦として差し出された女は実際には何事も起こらなかったのに周囲の偏見に苛まれる「赤いくじ」。欲を滾らせた醜い人間を描く秀逸な5編だった。 2022/06/12

chika

34
本傑作選、昭和30年〜52年に書かれた短編5つ、テーマは何かに取り憑かれた者ども。目利き役は桐野夏生先生。いや、どの作品の登場人物も、憑かれてます、狂ってます!。中でも、鬼畜は、純真無垢な幼子とロクでもない女の描写の後味の悪さときたら、あー恐ろしや(´༎ຶོρ༎ຶོ`) でも、この世界観、巨匠、清張の筆力のなせる業なんですね。(๑˃̵ᴗ˂̵)2018/03/12

うーちゃん

28
愛に憑かれ金に憑かれ、破滅してゆく男と女。桐野夏生セレクトによる、清張傑作選。週刊誌のネタ的な、下衆で下世話なストーリーを、一度読み出すと止まらなくなるほどの生々しさと面白さで一流の作品に仕上げてしまう清張の凄さ。ラスト一行の切れ味の鋭さにも定評がある(私の中で)。けっこう無感動にぶった切るというか。だからこそ、一時的な栄光と安寧の中にいた彼や彼女が"終わる"ときのあっけなさが真に迫る。「鬼畜」は映画版も好きだ。岩下志麻の折檻シーンに震え上がりました。今見ると小川真由美の母親のほうが怖いかも。2017/03/03

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