新潮文庫
喪失の儀礼 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 423p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101109435
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

都内の大学病院に勤務する38歳の医局員・住田友吉が、名古屋のホテルで他殺死体となって発見された。手首を切られ、3リットルもの大量出血によって脱血死したのだった。刑事の大塚らの捜査で、住田が匿名で医学界の腐敗を暴く記事を雑誌に寄稿していたことが明らかになる。そして2ヶ月後、第二の殺人が―。目撃証言相次ぐ「赤い髪の女」とは一体何者か。震撼の医療ミステリー。

著者等紹介

松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。福岡県小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aquamarine

60
何度かドラマ化されている本作。先日の放送を見ましたが、原作の方は初めて読みました。ドラマでは医療サスペンスという紹介をしていましたが、ちゃんと犯人捜しでトリックもある本格ミステリで、刑事が足で稼いで犯人に迫っていくものでした。一気に真相に迫るラストは夢中になって読み、想像しなかった結末に息を飲みました(2016年版ドラマとはちょっと結末が違います)。久しぶりの清張作品でしたが、思った以上に読みやすかったのでまたいろいろ読みたくなりました。2016/05/13

達ちゃん

34
刑事たちがじっくりと真相に近づいていくストーリーを十二分に堪能しました。そして何より斬新なラスト!清張さん、たまに読むとしびれます。2020/03/17

きょちょ

21
東京の内科医住田は、名古屋の学会に出てホテルで殺される。同行していた製薬会社の係長と、住田の趣味の俳句の関係者の老女が怪しまれる。その後、同じ学会に参加した東京の外科医香原が殺される。被害者二人の接点は、学会で一緒だった他はない。係長は住田とは接点があるが、香原とは接点がない。老女は二人の医者と関りがあることはわかったが、明確なアリバイがある。被害者はともに大量の血を失っての死亡。やがて第三の殺人。いろいろヒントがあり、真犯人は想像つくものの、415ページ中400ページですべての真相が明かされる。★★★★2020/06/06

かよぴー

17
松本清張ドラマは好きでよく見る。 殺人事件から刑事の捜査と推理、怪しいと思われる人々、決して派手な演出がある訳では無いが、絡み合う人間関係に、あっ!と 驚くとともに 、いつも妙に感心させられる。 喪失の儀礼では、医師2人が殺されるが、2人の接点がなかなか見つけられず、地道な捜査が続けられる。最後は犯人の物的証拠が見つけられないまま終わってしまう。刑事の推理だけで終わるという斬新な物語!昭和40年代に書かれた話でした。 2020/01/14

ウイロウ

10
昭和44年小説新潮に連載の由。東京から学会に参加した大学病院の医師が、名古屋のホテルで殺害される。死因は脱血だった。事件はお宮入りし、捜査本部は解散。しかしその後、名古屋の刑事たちが別件で上京した折も折、都内でやはり医師が失血死を遂げる。清張作品では多分マイナーな方だろう。あまり期待していなかったがいやいやどうして、さすがは清張である。この心理トリックを使ったドンデン返しにはしてやられた。また犯行動機は現在でも十分通用する。というより、昨今の社会問題をはるかに先取りしていたのではないか。結果、面白かった。2018/03/10

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