出版社内容情報
身の安全と出世を願う男の生活にさす暗い影。絶対に知られてはならない女関係。平凡な日常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く7編。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
167
松本清張の短編集。いずれ劣らぬ濃い内容の七編収録。【遭難】の終盤まで全く見えない話の行き先に、【天城越え】の道連れとなった女の色香に、【坂道の家】の若い女に入れあげて人生棒に振る中年男の馬鹿さ加減に、それぞれ魅了されて読みふけった。清張作品は四冊目になったが、今のところこの短編集が俺的にはベスト。面白いなあ、松本清張。あとをひくなあ、松本清張。2023/05/09
ゴンゾウ@新潮部
108
改めて松本清張氏の偉大さを実感した。推理小説のジャンルに入るのだが単なるトリックの謎解きだけでなく物語に深みがある。欲望や嫉妬など人間の醜さを描く為の手段として推理が存在する。人間の本質を捉えているからこそ、時代を超えて何度もドラマ化されても色褪せないのだと思う。2016/09/22
mike
78
浮気、不倫、密通。絶対に知られてはならない男女関係。そこに横たわる仄暗い闇に引き摺り込まれる人達の姿を描く短編集。男は自分の不貞は棚に上げ、裏切り続ける女房を太って体の横幅が広いだの痩せて狐のように尖っているだの散々な言い様。女は科を作って男を利用しながら、裏で本命とちゃんと出来ている。こういう話を700ページずっと読み続けると流石にオエッ😒となるね。短いけどまさかの結末に驚いた「凶器」「証言」が私の好みだった。2024/02/27
じいじ
77
清張が自ら選んだ短篇集だけに、7篇どれも面白いです。ここでご紹介する2篇をどれにするか迷いました。【証言】軽い気持ちでついた「嘘」から…。或る日、都内の或るところで、自宅近くに住む「男」とすれ違った主人公。…何年か過ぎ、刑事が訪ねてきます。男に殺人容疑が…。男のアリバイを証言すれば、自分の浮気がばれてしまう恐れが…。【寒流】銀行内の人間関係ー上司のスキャンダルをあばいて復讐を企てる。どっちもどっちの話ですが…清張が描くと面白いです。2025/05/18
stobe1904
71
【松本清張の短編集】色、欲、保身などによって自滅、転落していく人間たちを描く7つの短編から構成されている。人間の業を卓越した筆力で描く作品は短編ながら、どれも読み応え十分。大きなヒネリが見事に決まる『天城越え』は絶品。★★★★★2023/05/26
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- 和書
- 我が名はアラム 福武文庫