出版社内容情報
東京郊外で発見された、男の腐爛死体。その身元を追及しようとする二人の新聞記者は、次第に、あまりにも意外な事件の核心にふれてゆくこととなった。酒と女の供応に明け暮れしている、そんな悪徳税務署員の私行が招き寄せた、三つの殺人事件を通して、脱税に、収賄にと、腐敗しきった税務署の、驚くべき内情が描かれる。――現代の黒い霧に挑む著者の、代表的な社会派推理小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
69
2014.02.03(02/03)(再読)松本清張著。 02/02 (解説=小松伸六) 権力の振るい方の変化。 「公共性」「公僕」は主張する。 が、形の上。 「カンソンミンピ」「官尊民卑」の思潮、残る。 特に、税金をとるお役所の役人。 民は卑屈なほど戦々恐々となる。 汚職発生の根源。 これ、民からみての話。 2014/02/03
みっぴー
54
清張さんの文は、平坦で読みやすい。だからたまに衝動的に読みたくなります。税務署の腐敗をテーマにした社会派ミステリー。面白いかと聞かれたら、全然そんなことないですけどね(笑)汚職の罪を着せられ、税務署を首になった男の死体が発見される。ある新聞記者が税務署の闇に迫る、といった内容。何が怖いって、汚職の自覚がないことです。もう当たり前なんです。汚職が。納税に関してだけでなく、真面目にやってる人が馬鹿をみる。そんなのは許すわけにはいかない。そんな清張さんの義憤がビリビリ伝わってくる作品でした。2018/07/11
坂城 弥生
45
税務署の汚職が普通のこととして蔓延しているのに閉口した。今もこうなのかな…??2021/11/22
ナキウサギ
23
階段とは、、出世という意味だったとは。新聞社に入る電話を自宅で待つ場面や、バーの片隅で何日も長時間も憎い相手を探す場面、、昭和の人情味が所々にあって、ゆっくりと犯人像が浮き出る後半はホッとした気持ちで読み進めた。
Nozomi Masuko
22
東京郊外で発見された男の腐乱死体の身元を追及する2人の新聞記者は、被害者が元税務署員で、脱税事件の責任を負って退職させられた男と知る。殺人事件を通して、脱税、収賄に腐敗し切った税務署の驚くべき内情を描くー。どんどん引き込まれていってあっという間に読了。これがノンフィクションだったらショック。今はどうだかわからないけど、昔は当たり前だったのかなと思うと、恐ろしい世界があるもんだ。松本清張作品はやっぱりこの類のものが好み。2016/04/17