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中公文庫
華の碑文 - 世阿弥元清

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  • サイズ 文庫判/ページ数 405p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122004627
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

時は室町時代、大和猿楽座に生まれた世阿弥が、暗い世俗の桎梏に縛られながらも辛苦して能を大成してゆく感動の生涯を描く。〈解説〉小松伸六

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

真理そら

35
何度目かの再読。何度読んでも飽きない。観阿弥、世阿弥、義満、楠木正儀等が登場する世阿弥が能を完成させる物語。世阿弥(や語り手としての弟)の成長や世相の変化などによっていくつもの物語が読み取れるので何度読んでも飽きないのだろう。2018/08/07

なお

34
民間芸能だった能を、稀有な芸術としての「能」にまで高めた世阿弥が描かれる。北条末代からの猿楽は田楽に圧倒されていた。大和結崎座の観阿弥は海老名ノ南阿弥との交流で、軽快な曲舞の音曲を取り入れ新たな能を作る。長男の世阿弥は近江比叡座の犬王の孤高の舞と、父の大衆を惹きつける舞とを合わせ持った〝不易の美〟を創り出していく。世阿弥は親子や夫婦の愛にさえ関心を持たず、美の本質に向かって心魂を傾ける。将軍足利義満への稚児勤、出自が楠氏故の抑圧、佐渡への配流の苦難も能の美がこの国に根付く大事に比べれば、何事でもなかった。2023/06/17

アルピニア

26
能の大成者世阿弥元清の人生を弟元仲の視点で描いた作品。杉本さんが長年の研究の末にたどりついた世阿弥像、能楽論が描かれている。世阿弥の人生観に大きな影を刻んだ稚児つとめ、侍童の惨さ、異様さが所々で念を押すように描写される。さらに足利将軍の世、権力に翻弄され盛衰を繰り返す芸能家の生活。その中で、世阿弥は美の永遠性を信じ、「不易の美」の追求に至る。妻子よりも何よりも能を愛し抜いた才溢れる人間と、環境(父観阿弥、義満、近江猿楽犬王、甥元重)との奇跡的な巡り合わせによって“かんぜの能”が生まれたのだろう。(続く)2016/12/17

こぽぞう☆

25
母が謡をやっていたので、能には親近感がある。この本はずっと読みたかったのになかなか出会えず(文庫版の発行が私の15歳のとき。存在は知っていても本屋で売っていなかった?)ブックオフオンラインで買えた。絶版を手頃なお値段で入手するにはブックオフオンライン、ホント助かります。2016/05/09

高橋 橘苑

14
世阿弥の生涯を描いた作品。恐らく杉本氏の作品の中でも、渾身の力作であると思われる。筆者自身が世阿弥を研究していた事もあるが、師の吉川英治の代表作「宮本武蔵」と対をなす、ライフワークとも言える情熱が込められた作品であったに違いない。「他人ためには演じない。自分ひとりを看客とし、自分のために、自分だけの能を生涯追求し通す」文中、世阿弥にこう言わせた筆者の、いつもながら冷たく底光りする流麗な文章には、かすかな気負いが感じられる。本作品は、政治や時の権力に流されない、久遠の美の追求者としての、世阿弥の碑文である。2014/08/11

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