内容説明
パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
135
もちろん組織人事の鬼畜さは筆舌に尽くし難いがそれ以上に、ここまできたらむしろ昭和の日本人の忍耐と矜持の強硬さに感嘆を覚えた。器用に出世した人物も事故現場に自ら足を運んで粉塵と汗にまみれ捜索の第一線に立つ、そのような仕事に対する覚悟に圧倒される。サイドストーリーとして描かれるアフリカの地に生きる日本人達のエピソードも非常に興味深く、一人ずつが一つの小説になりそうな波瀾万丈な人生絵巻。いよいよ2巻の終盤で主人公の人間力と境遇の歯車がかちりと合い始めた。ここからどう歯車は回りどこへ進むのか。3巻へ続く。2025/06/19
yoshida
132
恩地への不当人事は約10年に及んだ。カラチ、テヘラン、ナイロビ。遂に恩地も精神を病みかける。恩地が日本に戻るきっかけは皮肉にも国民航空で多発した事故だった。利益を求め、人を育てず機材の修理も不十分である国民航空。改めなかった問題は御巣鷹へと繋がるだろう。これだけの報復人事に耐えた恩地の超人的な不屈さ。私であれば転職してしまうだろう。だが、恩地は彼を信じる組合員の為にも、節を曲げなかった。だが国民航空の経営層は変わっておらず、恩地には更なる苦難の道が見える。恩地はそこを乗り越え、どう生きるか。読み応え抜群。2021/01/08
ぴー
86
テヘラン〜ナイロビの勤務が終了。恩地さん、本当にお疲れ様でしたと言いたくなる。第2巻では、恩地の孤独や国民航空に対する怒り、家族へ様々な思いが強く描かれており、心を打たれる。また、アフリカの自然環境の美しさも強く印象に残る。相次ぐ飛行機事故も中盤から書かれており、国民航空が組織として崩れていることもよく分かる。第3巻は、さらに重い内容なんだろうな…。引き続き、山崎ワールドを楽しみたいと思います。2025/03/21
キムチ
73
装丁は舞台の情景をよく表現しており、執筆に当たって筆者がかの大地を歩きまわった意欲的な息吹がよく伝わってくる。恩地の抑えた行動の内面にたぎらんばかりの憤りが感じられる。中盤よりインド、モスクワ等の飛行機事故が相次ぎ、いよいよ起こる御巣鷹山の事件の予兆かなと。アフリカの女王との会話に差別観を述べ現地の在り様に「ポレポレの国」との文明摩擦を語っている。ナイロビの風景はよく綴られ、臨場感十分。今でも残っている「組織の意を汲むモノの作文」というレポート、ハインリッヒの法則の引用もあり、なるべくしてなって行く展開だ2014/03/03
射手座の天使あきちゃん
73
日本航空社内の不条理・傲慢・人間の欲望等を赤裸々に 真相は?、でも恐いですねぇ!
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