出版社内容情報
ゆっくりと希望がうかぶ、波うちぎわの物語
ひとりぼっちの小さなゾウが、波うちぎわで出会ったのは大きなクジラ。
ゾウは陸のことを、クジラは海のことを語り、いっしょに楽しいひとときを過ごします。うちとけていくうちに、ふたりはのっぴきならない現状を打ち明けることになり・・・。おたがいを思いやる優しい気持ちが絶望を希望に変える、心温まるストーリー。
海の砂をキャンバスに塗って下地をつくり、赤、青、黄色、白の4色だけで色を生み出し重ねていく、著者独特の画法で描きだした絵にはぬくもりが宿り、語りとセリフが生む感情の波と溶け合い、思わず涙があふれる絵本です。
【編集担当からのおすすめ情報】
画家として活動を始めた著者たなかしん氏は、2005年にイタリアのボローニャブックフェアをきっかけに絵本作家デビューし、以来多数の絵本を刊行。2025年には20周年を迎えました。また児童文芸書『一富士茄子牛焦げルギー』で日本児童文学者協会新人賞を受賞し、朗読劇として舞台化もされるなど、物語の紡ぎ手としても評価されています。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
131
たなかしん、6作目です。一見接点のなさそうなゾウとクジラの組合せ、もしかしたらゾウのような動物が、海洋進出してクジラに進化したのかも知れません🐘&🐋 ゾウもクジラも背景も非常に美しい絵本です。 https://www.shogakukan.co.jp/books/097254152025/07/24
たくさん
1
海の夕方の静けさ。にぎわった後の余韻。そんな海辺に出合ったゾウとクジラ。お互いにもうこの状況が最悪だと思っていたけれど安らぎが他者から感じ取ることであり驚く。少しぼやけた砂のような海の揺らぎの水の色があって、怖いことがすっと素直に出てくるゾウの背伸びをしない感じ。助けてあげた後もあきらめず恩を返そうとする健気さ。だれもないほかにいない二人の世界にこういう思いやりがある世界が増えてほしいですね。2025/08/06