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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
65
NHKでの「百物語」で語られた作品も有り。「衝立の乙女」は小泉八雲のルーツでもあるギリシャの『ピグマリオンの乙女』みたいで小泉八雲が実際、日本で聞いた話か、ギリシャのを換骨奪胎したのか分からない位、似ています。「雉の話」は息子の言動にぞっとするな・・・。そして「日本人の微笑」は日本人として帰化したラフカディオ・ハーンから見た日本人像が大変、興味深いです。2014/10/06
活字の旅遊人
63
大きく分けて、前半が化け物・霊絡みの昔話。後半が著者の日本・日本人論。近頃何だか読メ周りが怪談流行りのようで、その勢いに乗り、ついに積読解消。有り難うございます。前半は「耳なし芳一」「雪おんな」などお馴染みの話もあったが、面白く読めた。それで日本人の好きな(いや、これらを選んだのはこの外人だが)来世で結ばれましょう的な話、死体と付き合う話などのパターンが見えてくる。後半の小論は、江戸から明治の時代の変化を捉えつつも、やはり今もそう変わらないよね、と思えるような内容だった。鋭い感性と分析力を持った人なのだ。2021/07/05
ホークス
38
日本人と結婚し、日本に帰化した八雲。彼の説話が一味違うのは、伝えようとした相手が欧州人だからで、感想や教訓のベースが今の我々に近い。八雲の話には「ゾーッとする」怖さがある。姿形は似ていても、基本的に違う世界のモノたちが放つ「決して理解出来ない」感じ。神か妖怪か生霊か、何れにしても超越的な何かが、気まぐれや激情のままに儚い人間を蹂躙する。「耳なし芳一」の夢幻的な異世界感。「死骸にまたがる男」は欧州民話風の残酷さ。果心居士や雪女も怖い。後半の日本随想はロマンスの香り高く少し冗長で、如何にも19世紀的である。2017/04/02
zoe
28
先日、ドナルド・キーン作品を読んだ直後に購入。期待通り、海外文化の目を通して我々自身を理解させてくれます。それは、古き良き、霊的で、美しく、謙虚で、強く、優しく、自尊心を持ち、他人を敬い、失礼を許さず、でも許容し、などの日本です。で中ほどに収録されている「日本人の微笑」が象徴的ですが、道端の地蔵の、時に可愛らしく、時に悲しそうに、時にあたたかく、時に思慮深く感じる姿に、通りすがりに色々感じる我々に、これを作る職人さんにまで染み入った日本人の文化の深さに、改めて感心しました。2018/05/19
good speed
27
日本人よりも日本を愛し尽くしたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。今の日本は「自分さえ良ければそれで良い」、「後の人のことなど考えない」、私よりもずっと年上の方々にそんな人が多いような気がします。そういった意味で、読んでいて辛くなってしまいました。妖怪ウォッチも良いけれど、「耳なし芳一」「雪女」等の本物の怪談も語り継いでいってもらいたいです。2014/12/26