内容説明
作曲家としては勿論のこと、劇作家、思想家、美学者として、ワーグナーほど多彩な役割を演じた音楽家は他に例を見ない。同時に、ワーグナーほど毀誉褒貶の振幅の激しい作曲家もいない。稀代の風雲児の複雑に織りなされた生涯を底流するものは何であったか?創作の軌跡、出生の謎、女性問題、対ユダヤ人観、政治との関り、経済問題など、さまざまな面から大芸術家の実像に迫る。
目次
綜合芸術の揺籃
裏街道へ
パリ―19世紀の首都
ドレスデン―宮廷指揮者
革命と革命劇
スイス―高山の思想
「緑ヶ丘」にて
「奇蹟ガ起ッタ」
バイロイト―中心の建設
ユダヤ人
女性
ヴェネチアの落日―終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Decoy
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ワーグナーの生涯が簡潔に把握できるだけでなく、卓越した登山家であったことや、ユダヤ人との関わりと反ユダヤ主義の由来についても、知ることができた。つくづく驚異的な天才。これほど波乱万丈な人生なのだから、もうちょっと読み物としての面白さがあると良かったが…。コジマ、ルートヴィヒ2世との劇的な出会いを期待していたのに、いつの間にか登場していた。2017/08/23
のほほんなかえるさん
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ワーグナーの簡単な略歴を知った。キーワードは「逃亡」「民衆」「神話」らしい。読み終えて、改めて、もう一度ベートーヴェンの「第9」を聴いた。ワーグナーはここから出発したのか。少しわかる気がした。2011/04/24