内容説明
ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc.そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが…。まぶしくピュアなラブストーリー。
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966(昭和41)年大阪生れ。京都大学文学部仏文学科卒。2000(平成12)年、初の長篇小説『ぶらんこ乗り』を発表。’01年、『トリツカレ男』発表。’03年、『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞受賞。’04年、『プラネタリウムのふたご』が三島賞候補作に。’05年、2年ぶりの書下ろし長篇『ポーの話』発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
415
新潮百冊】トリツカレ男(ジュゼッぺ)。海外の児童文学のようんだと思ったら、仏文の出身とのこと。いい感じで行き過ぎていて、いい感じで女性に取り憑かれる。幸せ終わり(happy end)でほっとしました。亡くなられたタタン先生の話は悲しいけど、その悲しみを引き受けることができるほど取り憑かれていることの有り難さが身にしみる。2013/05/28
ダリヤ
357
きれいなことばが、あちこちにちりばめられていて、ずっと、かばんのなかにしのばせておきたい、やさしさがきらきらつまった、ほん。2011/03/01
そる
327
かわいくてじんわりほのぼのする。なんにでもハマって取りつかれちゃうジュゼッペが風船売りの女の子ペチカに恋をする。その恋の取りつかれ具合がかわいいし、昔自分がハマったものを駆使して鮮やかに解決するところがまたおもしろい。友達のハツカネズミの存在がまたいい。最後はハッピーエンドだし、心が暖かくなるいい話。「「友達になりたいんだ、ペチカ、きみと」(中略)「こんな私を友達っていってくれるのなら、喜んで!」」「「どんな、って、そりゃ、素敵な笑顔さ。僕の知ってる人間のなかで、あんなすてきに笑うひとはいないよ。」」2019/01/30
ehirano1
318
“愚直なまでの素直さ”は美しいとさえ感じました。どんなに齢を重ねても、この様な素直さは忘れずに持っておきたいものです。2017/11/12
seacalf
315
「とりつかれちまったね、きみ」 「ものの見事に」 この本を開けば、幸せな時間が待っている。気持ちがとても温かくなること、請け合いです。 おとぎ話のような世界観と、愉快な語り口に惹かれて読み進めていくと、自然と笑みがこぼれてくる。胸がぽっと温かくなるシーンも何度かあるし、飽きさせない緩急あるストーリーも楽しい。 どなたにもおすすめしたい1冊です。2016/03/01