新潮文庫<br> サラマンカの手帖から

新潮文庫
サラマンカの手帖から

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  • サイズ 文庫判
  • 商品コード 9784101068053
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

11
生の本質への思いを鋭く描く著者の最初の西欧滞在にて得られた7篇。小説を書きあぐねている「私」の夏の日常を著した『城』。死の床にある放浪詩人ランボウと看取る妹の独白で、史観と想像力逞しく、生と死を描いた『献身』。両親がゲシュタポに連行された恐怖体験が甦り、狂気に導かれてしまった若いポーランド女性の運命を綴った『洪水の終り』。スペインの古都、サラマンカで、ささやかな片隅の生活、その中に潜む静かな安らぎに憧れる若い男女の心理が描かれているタイトルの『サラマンカの手帖から』。この4篇が印象に残った。2012/12/30

Penn

2
病床にある兄の生への強い執着を感じさせる幻想と、それを看取る妹の静謐の対比が、混沌とした文体で描かれる「献身」と、フランスの古い町に大学の夏期講座のために集まった男女のひと月に、戦後間もない時期の深い傷を描く「洪水の終り」が秀逸。特に後者は、ポアチエの美しい街並み、集った若者たちの若さ、そして起きてしまった悲劇の対比が実に映画的。「私たちは人間であるために、そのような人間以下の状態を持ちこたえ、いつかそれが本当に宥され、本当に理解する日まで、(略)はっきり眼を見開いていなければならないのです」2019/02/04

ハカセ

0
辻邦夫。「城」「献身」「洪水の終わり」がお薦め。「旅の終わり」も良い。元々古本で見つけて購入したのだがボロボロ。再購入したいが絶版のよだ。良い作品なのになぁ。2011/10/05

アンブレラ☆

0
秀逸な短編集。。旅の途中で描かれる情景は、動的な内容ではなくほぼ心象的。。 遠くに見える山を目指して歩き続けるのだけれど近づくほどに山が遠く感じられる徒労感とか。 シラクサ王に自身を重ねた旅の緊張感とか。 作者独自のロマンティック異国ワールドは詩歌のよう。。

kthyk

0
辻邦生の全集を読んでいて「サラマンカの手帖から」を見つけた。 流れ行く世界、その奥の人間の生、その生をいかにシンプルに。 それはこの作者の生涯のテーマだろうが、 スペインの古都、サラマンカを表題にしたこの小説は清冽な印象を残す作品だ。 踊りに音楽、喧噪と食べ物、オレンジを齧りながらのおしゃべりと愛。 都市はそんなシンプルな人生の為の舞台であってほしい、といつも思っている。 近々またヨーロッパの街をゆっくりと歩いてみたい。2020/10/14

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