出版社内容情報
それは都市を導き、未来を方向付ける塔になる――。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉【ホモ・ミゼラビリス】が暮らす新時代の刑務所・シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。人は、どこまで寛容で在らねばならないのか。空虚な言葉と正義が支配する東京に、沙羅のデザインしたタワーがそびえ立つ。生成AI時代の到来を預言する衝撃の芥川賞受賞作。文庫化に際し、単行本未収録の短編を収録。
【目次】
内容説明
それは都市を導き、未来を方向付ける塔になる―。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉が暮らす新時代の刑務所・シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。人は、どこまで寛容で在らねばならないのか。空虚な言葉と正義が支配する東京に、沙羅のデザインしたタワーがそびえ立つ。生成AI時代の到来を預言する衝撃の芥川賞受賞作。文庫化に際し、単行本未掲載の短編を収録。
著者等紹介
九段理江[クダンリエ]
1990(平成2)年、埼玉県生れ。2021(令和3)年、「悪い音楽」で文學界新人賞を受賞しデビュー。’23年『Schoolgirl』で芸術選奨新人賞、「しをかくうま」で野間文芸新人賞、翌’24年「東京都同情塔」で芥川龍之介賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
28
ザハ案の国立競技場が完成し、徹底した寛容論で犯罪者すら優遇される社会。新宿御苑に超高層刑務所が建てられる物語。自身の苦い過去の経験から犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅が、設計コンペに挑むものの仕事と信条の乖離に葛藤し、設計した建物が「東京都同情塔」と名付けられ定着していく皮肉な構図で、多様性を尊重するとはどういうことか、曖昧な言葉でオブラートに包めばいいのか。同情をされるべき犯罪者が自由に優雅に暮らす欺瞞、比較が良くないとされ、寛容であることを求められるもやもやに垣間見える複雑な想いが印象的でした。2026/04/23
小太郎
26
九段さんの「school girl」を読んで気に入ったので、芥川賞だし文庫になったので読みました。あれ?全然読み辛いじゃないと最初は戸惑いながら?。舞台は近未来そこは2020年にオリンピックが開かれ、ザハ案の国立競技場が建設されている東京。主人公沙羅は東京都が新しく建設するタワー型刑務所に応募しようとしている女性建築家。あとは言葉の重層的に積み重ねで語られる、寛容的なポリコレ社会に対する呪いの悪口。発想は色々飛んで金閣寺やバベルの塔へのオマージュにもなってる?でももう一つの短編の方が彼女らしいかな。★32026/05/22
niisun
24
受刑者が「ホモ・ミゼラビリス(同情される人)」と再定義され、『東京都同情塔』というユートピアの仮面を被ったディストピア建築に収監される。犯罪者を同情される人とする考え方や具体的に例示される受刑者A子の生い立ちからは、ベストセラーとなった宮口幸治氏の『ケーキの切れない非行少年たち』の影響が見えます。『東京都同情塔』と共鳴するのは、幻と化したザハ・ハディドの新国立競技場。当時は予算の問題で破棄されたが、最近の神宮外苑の再開発への反発を考えれば、やはり建つことのない建築だったのだろうなと思いながなら読みました。2026/05/28
香取奈保佐
17
冒頭で「主人公は変人だ」と思う。建築家の牧名沙羅は、あらゆる違和感に知覚過敏気味で、脳内では絶え間ない独り言が渦巻き、しかもコンプライアンスチェックまで自分でしている。「ノイローゼっぽいな」と思うが、案外、SNSに毒された僕たちの思考も似たようなものかもしれない■ザハ案の新国立競技場が建設された東京。多様性の賛美は行きつくところまで進む。罪を犯した人々は「ホモ・ミゼラビリス」と呼ばれ、彼らは新宿の中心地にそびえる優美な「シンパシータワートーキョー」に暮らす――。これがディストピアに見えるのは、なぜだろう。2026/05/27
huraki
10
建築家の牧名沙羅は新時代の刑務所、シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。犯罪者にどこまで寛容になるべきか?沙羅自身の過去のトラウマと建築家としての矜持がせめぎ合う。言葉は塔を建設するように、その人自身をも形成し時に破壊して未来へと創り続けていく。2026/05/09




