出版社内容情報
それは都市を導き、未来を方向付ける塔になる――。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉【ホモ・ミゼラビリス】が暮らす新時代の刑務所・シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。人は、どこまで寛容で在らねばならないのか。空虚な言葉と正義が支配する東京に、沙羅のデザインしたタワーがそびえ立つ。生成AI時代の到来を預言する衝撃の芥川賞受賞作。文庫化に際し、単行本未収録の短編を収録。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
ザハ案の国立競技場が完成し、徹底した寛容論で犯罪者すら優遇される社会。新宿御苑に超高層刑務所が建てられる物語。自身の苦い過去の経験から犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅が、設計コンペに挑むものの仕事と信条の乖離に葛藤し、設計した建物が「東京都同情塔」と名付けられ定着していく皮肉な構図で、多様性を尊重するとはどういうことか、曖昧な言葉でオブラートに包めばいいのか。同情をされるべき犯罪者が自由に優雅に暮らす欺瞞、比較が良くないとされ、寛容であることを求められるもやもやに垣間見える複雑な想いが印象的でした。2026/04/23
ムラサキ
2
芥川賞作品は個人的に難しい本で何が言いたいのか分からない作品が多いイメージでしたが本作は割とエンタメとしても面白かった。この作品のタイトルである東京都同情塔は、犯罪者にも権利を、という現実にもいる人権派の思考を形にしたもので、犯罪者が幸せに暮らすための施設です。そんなものを建てたその人権派はある日、自宅の庭に侵入者が現れます。世間では犯罪者を擁護する姿勢でありながら、自分が立場になると暴言を吐くシーンが個人的に面白かった。現実の人権派も自分が被害者になった時の事を考えて発言して欲しいなと思いましたね。2026/04/27
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