出版社内容情報
長い雨の切れ間に女の子を拾った。「ここ、どこ?」ちぃ子と名乗るその少女はどうやら1980年代からタイムスリップしてきたらしい。ちぃ子はなぜ僕の前に現れたのか、はたして元の時代に戻れるのか、封印された記憶に隠された真相は。娘を亡くした父親と、両親のいない少女の、奇妙な「夏休み」がはじまる。すべての伏線が?がったとき、時空を超えた愛の物語が浮かび上がる号泣必至ミステリー。
【目次】
内容説明
長い雨の切れ間に女の子を拾った。「ここ、どこ?」ちぃ子と名乗るその少女はどうやら1980年代からタイムスリップしてきたらしい。ちぃ子はなぜ僕の前に現れたのか、はたして元の時代に戻れるのか、封印された記憶に隠された真相は。娘を亡くした父親と、両親のいない少女の、奇妙な「夏休み」がはじまる。すべての伏線が繋がったとき、時空を超えた愛の物語が浮かび上がる、号泣必至ミステリー。
著者等紹介
辻堂ゆめ[ツジドウユメ]
1992(平成4)年生れ。神奈川県藤沢市辻堂出身。東京大学法学部卒業。2015年、『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、『いなくなった私へ』でデビュー。’21(令和3)年『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補。’22年『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
22
娘を亡くして妻ともすれ違い、離婚してリモートワークを言い訳に自宅に引きこもる譲。彼がある日ずぶ濡れの女の子「ちぃ子」を拾うひと夏の物語。1980年代からタイムスリップしてきたらしい彼女とのギャップに戸惑いながらも、少しずつ繋がってゆく幼き日の苦い記憶。ちぃ子と共に過ごすなかで少しずつ癒やされる日々があって、どうなることかと思われたその生活の末に気づいた今に繋がる思い違いが判明して、譲がこれまで見えていたものの意味も大きく変わる中、もう一度前を向いて未来に向けて歩み始める結末には確かな希望が感じられました。2025/07/28
りんりん
10
娘を亡くした譲が出会ったのは、ちぃ子という少女だった。40年ほど前からタイムスリップをしたらしいちぃ子と暮らすことになる。ちぃ子の正体は予想がつくが、傷ついた心が癒され、譲が立ち直っていく様子は感動的だったかな。2025/08/13
nami1022
9
文庫化に伴い再読。胸が痛くなり、心が温かくなり、ちぃ子の正体やタイムスリップのナゾには胸が高鳴り、そしてこの完璧なタイトル、全てが申し分ない一作でした。大森望さんの解説で気づいたけど、著者デビュー作の対となっている部分もあり、次はいなくなった私へを読み返してみようかな。2025/08/19
coldsurgeon
9
娘を亡くし離婚してしまった中年男に、ひと夏の奇跡が起きる。長い雨の切れ間に、10歳の女の子を拾い、タイムスリップしたらしいその子との共同生活が始まる。切なく温かい物語に、いくつもの謎が絡みこんでくる。子供たちに経験させた買ったことは、とても普通のことだったけれど、親としては日々の生活に追われて、出来なかったと悔やむことばかい。未来に起きる、大切な人の喪失の時期をうっすらと知りながら、生きていくことは辛かっただろうなと、主人公の元妻の心を思いやる。2025/08/18
KDS
6
購入する本の隣りに並べてあった一冊。帯のアオリなどを見て思わず買ってしまう。一年前に娘の美玖を亡くし妻とも離婚してしまった主人公の譲は、ある夏の日道端にずぶ濡れで座り込んでいる少女を拾う。ちぃ子と名乗るその少女は、なんと1980年代からタイムスリップしてきたのだという。そのうち譲は小学生の頃、一度だけ遊んだことがある「ちぃ子」というあだ名の少女のことを思い出す。彼女は確か、少女誘拐殺人事件の被害者になったはず…?最終的な着地や彼女の正体はなんとなく予想できるが、わかっていても感動の嵐。いい読書時間だった。2025/08/03