新潮文庫<br> リア家の人々

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新潮文庫
リア家の人々

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  • サイズ 文庫判/ページ数 363p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101054186
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

帝大卒の文部官僚として生きた無口な父と、戦後育ちの3人の娘。平凡な家庭の歳月を「リア王」に重ね、「昭和」を問う傑作小説。

帝大出の文部官僚である砺波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。

内容説明

帝大出の文部官僚である礪波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。

著者等紹介

橋本治[ハシモトオサム]
1948(昭和23)年、東京生れ。東京大学文学部国文科卒。イラストレーターを経て、’77年、小説『桃尻娘』を発表。以後、小説・評論・戯曲・エッセイ・古典の現代語訳など、多彩な執筆活動を行う。2002(平成14)年、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』により小林秀雄賞を、’05年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、’08年『双調 平家物語』で毎日出版文化賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

45
「リア王」からの引きで橋本治を初めてちゃんと読んだ!昭和40年代の「とめてくれるなおっかさん、背中のいちょうが~」や「桃尻語」の方である♪墜ちた「一家の王」と女性が負う役割に各々の満たされなさを煮詰めている「三人娘」を「リア王」になぞらえ、戦後の家父長制から転げ落ちて制度的な権威を失墜している事に気づかず暴君ではないが旧弊な人のまま日々を送る砺波家の父文三の妻が良妻賢母を貫いて病死した後の三人娘との暮らしを戦後の世相と役割意識への皮肉を込めて描く。意地の悪さは向田邦子の「阿修羅のごとく」の方が上かも(笑)2025/09/15

Sakie

15
「リア王」を、戦前戦後の日本の家庭に置き換える企み。妻を亡くした男と3人の娘。父にはぼんやりとした思惑しかなく、娘には長年培ったわだかまりがある。摩擦が表面化する場面の日本っぽさや、決して無垢ではない末娘が思わぬ行動に出るあたり、橋本治らしい意地悪さに満ちて面白い。それだけに留まらない。日本の社会を覆う"体質"が、日本人個々の思想のなさの集積的帰結であるという指摘のために、時代設定をし、社会の動きをつぶさに描くのにかなりの頁を割いている。結果としてのこの空虚な、読後感がどこからくるか考えあぐねている。2025/05/15

かふ

15
シェイクスピア『リア王』を戦後の日本に重ねた昭和時代小説。『巡礼』『橋』と昭和三部作と言われるらしい。一番最後が『リア家の人々』。橋本治が昭和を振り返るという平成時代。前の2つの作品は重要度高そう。これはまとめに入っているというか、時代を俯瞰した記述だからか、世相を説明しすぎて物語はあまり入ってこない。シェイクスピア『リア王』との違いは、父親の権力が弱まっているところか。以下https://note.com/aoyadokari/n/n07e170a8dfc02021/10/22

ソングライン

14
戦前文部省の高官の地位にいた主人公文三は戦後、公職を追われます。3人の娘と妻、困窮と苦汁の戦後、やがて公職に復帰するも、愛する妻を癌で亡くし、生きる目的を仕事にも家庭にも持つことができなくなる文三。上の二人の娘への冷めた愛情と小さい時、自分を無心に慕ってくれた末娘への偏愛。作者は戦後から復興する日本の中で、次第に薄れていく家長制度とその愛情が上手く表現できず、孤立していく父の姿を描いていきます。妻の一周忌に再婚宣言をする不器用さと末娘の将来のため、家から送り出す静かな愛情に共感しました。2019/09/24

...

7
タイトルが「リア家の人々」であることも関係あるかもしれませんが、王である父の話ではなく、その周りの人々の(つまりは娘の)話でした。「巡礼」もそうでしたが、この作者の冷徹な人間観察力というか、誰に対しても容赦無い感じ、すさまじいです。生きているだけで人間何かしらやらかしてるような気がしてくる。昭和の知識があったなら細かいところまで読み込めたんだろうなと思います。2013/05/05

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