内容説明
貧窮のうちに無邪気に育ったお玉は、結婚に失敗して自殺をはかるが果さず、高利貸しの末造に望まれてその妾になる。女中と二人暮しのお玉は大学生の岡田を知り、しだいに思慕の情をつのらせるが、偶然の重なりから二人は結ばれずに終る…。極めて市井的な一女性の自我の目ざめとその挫折を岡田の友人である「僕」の回想形式をとり、一種のくすんだ哀愁味の中に描く名作である。
著者等紹介
森鴎外[モリオウガイ]
1862‐1922。本名・森林太郎。石見国鹿足郡津和野町に生れる。東大医学部卒業後、陸軍軍医に。1884(明治17)年から4年間ドイツへ留学。帰国後、留学中に交際していたドイツ女性との悲恋を基に処女小説「舞姫」を執筆。以後、軍人としては軍医総監へと昇進するが、内面では伝統的な家父長制と自我との矛盾に悩み、多数の小説・随想を発表する。近代日本文学を代表する作家の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 5件/全5件
-
- 和書
- 動植物の軟X線写真集