内容説明
「どうぞお試しくださいませ。ブラック・オア・ホワイト?」スイスの湖畔のホテルで、バトラーが差し出した二つの枕。パラオ、ジャイプール、北京、そして京都。エリート商社マンに人生の転機が訪れる度に、黒と白の枕が現れる。悪夢、それとも美しい夢。それは、実現しなかった人生の一部分なのか。夢と現の境は曖昧になり、夢が現実を呑み込んでいく。現代日本の実像に迫る、渾身の長編小説。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951(昭和26)年、東京生れ。’95(平成7)年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、’97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、’07年『お腹召しませ』で司馬遼太郎賞、’08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、’10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、’16年『帰郷』で大佛次郎賞をそれぞれ受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
浅田さんの本が久しぶりに文庫の新刊が出たので読んでみました。少し今までのとは感触が異なります。スイス、パラオ、インド、北京、京都などの舞台を代えて語り手の商社マンが枕を変えることにより正反対の結果があるような夢を見ます。バブルの頃のサラリーマンの行動や意識を夢にすることによっていい面と悪い面を反省させてくれます。このような物語は最近の若い人に合わないのかもしれません。自分に都合の良い情報しか取り入れない傾向があるのでしょうから。2017/10/30
となりのトウシロウ
58
急死した旧友の通夜で、旧友の都築君と偶然再会した私。商社マンだった彼の自宅高級マンションで、彼からバブル時代に見た夢の話を聞かされる。スイス、パラオ、インドのジャイプール、北京、そして京都。それぞれの都市で見る、白い良い夢と黒い悪い夢。夢の中だけで現れる恋人、写真でしか知らない祖父が現れる。夢と現実が互いに侵食しあう中で、「どうせ夢と申されるか。そこもとは、夢から覚めた現も、どうせ現だと思うておられるのではあるまいかな」という夢の中の雲水の言葉にハッとさせられる。不思議な読み心地にさせられました。2020/05/30
ちゃとら
41
浅田次郎さん何冊目だろう。初めて読むのに苦労した。旅行に持って出かけたけれど、しっくりこなくて書店で違う本購入した。読みかけで放置しておくのが嫌で読了。商社マンの主人公が、旅先で黒か白かの枕を選ぶことによってみる夢と現実の話。そこに現れる祖父と謎の美人の恋人。要所要所には浅田さんの本音と思われる言葉があったけど、パラオとか北京とか場所と歴史には興味があったが、私的には消化不良でした?10年後に読んだら面白いのかな〜⁈ 2018/06/24
Syo
38
ブラック オア ホワイト。 白い夢か黒い夢か。 この本を読んでたら えらいハッキリクッキリ 覚えている夢を見た。 いい夢 見ろよ。2019/11/14
tengen
34
元満鉄の理事で財を成した祖父。 そして迎えられた商社で役員を務める。 祖父の右腕から能力を買われ跡を継いだ婿養子の父。 その後、3代目として勤めることになった都築栄一郎。 だがその商社マン生活は痛恨の連続であった。 たまたま友人の葬儀で出会った私はこの60を過ぎた資産家の御曹司に招かれ彼から夢と現の話を聞く。 スイスの湖畔、パラオ、シャイプール、北京、そして京都で見た夢。 白い枕で見るのは良い夢、黒い枕で見ると悪い夢。 そして語られた現はブラック?orホワイト?。 浅田さんにはめずらしく読みにくかった。2024/01/05
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