出版社内容情報
霧島 兵庫[キリシマ ヒョウゴ]
著・文・その他
内容説明
ナポレオン戦争も終結し、士官学校校長となったクラウゼヴィッツ。取り組んだのは『戦争論』の執筆だった。宮廷女官長を務めた聡明な妻マリーに、六つの戦場を語っていく―。見えてくる戦争の変貌と軍事の要諦。国民皆兵制か傭兵か、制限戦争か絶対戦争か…。戦争について問い続けた夫と、理解者だった妻。二人で成し遂げた“名著誕生”の舞台裏を描く画期的小説。
著者等紹介
霧島兵庫[キリシマヒョウゴ]
1975(昭和50)年生れ。著書に『甲州赤鬼伝』『信長を生んだ男』『フラウの戦争論』『静かなる太陽』がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごいんきょ
17
「戦争論」の著者クラウゼヴィッツのも物語。 かなりむかし「戦争論」を読み始めましたが難解さに挫けてしまいました。2023/03/27
nishiyan
11
クラウゼヴィッツと妻マリーの関係を軸に『戦争論』執筆のきっかけとなったナポレオン戦争の大きな六つの戦いを描いた歴史小説。クラウゼヴィッツが妻マリーに戦争の顛末を語る形式をとっている点は興味深い。クラウゼヴィッツの死後、遺稿を『戦争論』としてまとめるマリーが時折、彼をやり込める場面があり、こういう夫婦の何気ない描写も心地よい。しかしプロイセン視点で見るナポレオン戦争というのはなかなか面白かった。軍内部の世代間対立に国王の不興を買ったことで閑職に追いやられるクラウゼヴィッツ等々、読みごたえがあった。2022/10/31
Urmnaf
10
古典的名著『戦争論』の著者であるクラウゼヴィッツ。国際政治を学ぶ者にその名を知らぬものはない。ナポレオンが勢力を拡大するヨーロッパはまた、王政から共和政への変革期であり、戦争も市民兵によるものへと変わりつつあった。クラウゼヴィッツが従軍したナポレオン戦争の戦闘描写と、戦後に閑職の士官学校長となったクラウゼヴィッツと妻マリーとの生活が交互に描かれ、時折、マリーがクラウゼヴィッツをやり込めたりするのがなかなかに仲良さげで。発表時の「フラウの戦争論」より、現在のタイトルの方が断然良いよね。2022/10/10
北之庄
3
有名な戦争論の出版は、クラウゼヴィッツ夫人の力が大きいとのモチーフは、まるで大バッハとアンナの関係かと見紛うばかり。作者の霧島兵庫氏は元陸自佐官との事で、プロイセンが参戦した、イエナやアイラウ等々6つのナポレオン戦役を要領良く描く。とは言え流石にダイジェストに過ぎず半端な印象。また戦争論自体には興味が尽きないものの、プロイセンでの冷飯を愚痴る参謀クラウゼヴィッツの生き様は、あまり共感できずやや残念な印象。2022/12/11
Tomozuki Kibe
3
本屋で表紙見て即買い。クラウゼヴィッツを知らない人はこの本を読んで面白いはずがない。「戦争論」はクラの死後、奥さんが遺構をまとめて出版した、というのは知っていたが、そこがドラマの落ちになる。内容の8割はナポレオン戦記。しかも本邦初と言っていい「プロイセン・ロシア視点のナポ戦記」。シャルンホルストやグナイゼナウという名前がこれほど出てくる小説は佐藤大輔くらいのものである。まああっちは人名じゃなくて軍艦名だが。2022/09/01