内容説明
山形十九万石を治める最上義光の愛娘で東国一の美少女と称される駒姫は、弱冠十五歳にして関白秀次のもとへ嫁ぐこととなった。が、秀次は太閤秀吉に謀反を疑われて自死。遺された妻子には非情極まる「三十九人全員斬殺」が宣告された。危機迫る中でも己を律し義を失わない駒姫と、幼き姫に寄り添う侍女おこちゃ。最上の男衆は狂気の天下人から愛する者を奪還できるか。手に汗握る歴史小説!
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978(昭和53)年、群馬県生れ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011(平成23)年にデビュー。’15年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。『駒姫―三条河原異聞』は’17年に「週刊朝日」の「歴史・時代小説ベスト10」で3位に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
48
許すまじ秀吉!!これは電車の中で読んじゃアカンやつだった。関白秀次の強い要望で側室として聚楽第へとらわれた羽州最上家の駒姫様15歳と御物師のおこちゃ。権力を握る太閤秀吉は秀次が謀反を企てているとの疑心暗鬼に囚われ自害に追い込み聚楽第にいる妻子に罪人として処刑を命じるのだ。駒姫は聚楽第に入ったにしても秀次とも会えず、何故に処刑されなければならないのか!姫様とおこちゃを救うため奔走する最上家だが太閤秀吉の威光には誰も勝てない。理不尽際なりない中三条河原では処刑の準備が整う。駒姫、おこちゃ~~救えるのか!!!2020/03/13
優希
45
まさにのめり込み必至の歴史小説でした。歴史好きと言いつつ、駒姫の悲劇は知らなかったので、心に刺が刺さったような感覚に陥り、辛かったです。幼い姫とその娘、侍女は戦国の世という悪魔に飲み込まれたのでしょうね。2022/07/17
みこ
18
秀次事件の顛末を最上目線で描く。張りつめた緊張感が作品全体を覆い、早く話を先へ先へと読み進めたくなる。最上家家臣たちの奮闘っぷりにこの作中で史実は覆るのか、いや、覆っても良いんじゃないかと思わざるを得ない。同時に巨大な権力の前で一つの命が小さく扱われることの理不尽さも強く感じる。ネタバレにチェックを入れてラストシーンを語りたい気持ちもあるが、ラストを深く味わってもらうためにもあえてそれはしないでおこう。2019/12/28
なごみ*こはる
12
☆☆☆☆☆ 歴史ものは史実に沿ったものでなければ、という思いがいつもあるけれど、本作に限ってはフィクション入ってもいいのではないか、いやフィクション入って、せめておこちゃだけでも助かって欲しい、 という思いで読み進めました。秀次事件に三条河原での出来事…、知ってはいましたが、読み終えた今、心にかなりの疲労感。ともすれば終始鬱になりそうな中、着物の鮮やかな描写が少し心をほっとさせてくれました。2020/05/07
寝覚の朔
10
この時代の予備知識はほとんどなく、昏い先行きに不安になりつつ、タイトルにある「異聞」に一縷の望みを賭けながら、終盤は一気に読み。その展開に涙が止まらなかった。 無情なる時の権力者の決定、それを取り巻く様々な思惑、僅かな運命の違いから生まれた悲運を何としてでも回避せんと働く者達…… そしてそれらは後々世の出来事へと繋がってゆく。 駒姫専属のスタイリスト兼デザイナーともいえる御物師のおこちゃが重要人物だからか、登場人物の着物についての描写が豊かだった印象。2019/12/18