内容説明
「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。
著者等紹介
芦沢央[アシザワヨウ]
1984(昭和59)年、東京生れ。千葉大学文学部卒業。2012(平成24)年、『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
579
前回読んだ長編が肌に合わず、もう読まんでもいいかな、と思っていたのだが、読み友さんから「あとこれだけ読んで」と言われて。苦手なはずな短編集がスルスル読めた。そして心理描写の妙。『姉』以前にも感じたけれど、著者さんは過去、子育てに苦労されたご経験が?『目撃者』もよかった。あるよね~仕事のミス、「なんとかごまかせぬものか」って。そんなボタンの掛け違えがどんどん緊迫感帯びてくる。ラストの表題作、田舎の閉そく感を描き切ってくれたね。最後まで我慢をして死んでいった祖母が哀しかった。2024/08/10
mae.dat
329
芦沢央許すまじ(嘘)。表題作を含むパターンのバラエティに富んだイヤミス短篇5作。身構えつつ読んだけどさ、どんどん悪い方へ転がる点が流石と言うか、気が重くなるね。最後はどんな心理状況だったの。主人公氏では無く周りの登場人物がね。それを考察してみたり、その後を考えるのは脳が拒絶しているみたい。余韻まではとても楽しめず。まだまだ甘ちゃんやな。特に育児に勤しむ『姉のように』かな。状況をコントロールできなくてね。辛い。でも嘘だと思うよ。反抗期は確かに大変だけど、巧く乗り切るとボーナスステージに入るから。頑張って。2024/10/15
あきら
324
面白かった。 その先の曲がり角に何かがある。 それだけは分かるんだけど、見たくないような見たいような、みたいな感じ。 すべての話が秀逸な展開で、米澤穂信さんの満願を彷彿とさせた。 2021/12/02
鍵ちゃん
299
「これでお前も一人前だな亅入社3年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤発注をしていた。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華された5編からなる短編集。どれも短編だけど深くて重い話でした。中でも「姉のように亅は誰もが子育て中一度は苦しむ経験であり、心にグサッと刺さってきたな。2021/02/20
nobby
290
もう誰にも分かりやすい“The イヤミス”短編集。5篇ともに、最初から嫌な予感を漂うまま迎えるラストには一捻りあって救いがない…必ずしも間違っていると思えない言動によって導かれる展開が生々しくゾッとさせられる。圧倒的なのは表題作「許されようとは思いません」その台詞の真意に至った時の重みは相当なもの…いよいよの結末とカバー裏オマケ「なれそめ」読んで何とか救われる。一番のオススメは「目撃者はいなかった」一つの誤魔化しが事態を悪化させた上での結末が衝撃的!「姉のように」でのミステリ展開は気付けず悔しくも上手い!2020/06/28
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