内容説明
「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。
著者等紹介
芦沢央[アシザワヨウ]
1984(昭和59)年、東京生れ。千葉大学文学部卒業。2012(平成24)年、『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
602
短編集。どれもはらはらしながら結末が、気になってあっという間に読了。1作目の『目撃者はいなかった』なんて、仕事をしている身としては凄く気持ちがわかるけど、こんなことは絶対しないな、でもわかるな、と思うとやはり、誰にもばれずに仕事のミスをカバーすることは出来ないなと怖くなりました。『姉のように』が1番好きです。2019/08/19
ミカママ
578
前回読んだ長編が肌に合わず、もう読まんでもいいかな、と思っていたのだが、読み友さんから「あとこれだけ読んで」と言われて。苦手なはずな短編集がスルスル読めた。そして心理描写の妙。『姉』以前にも感じたけれど、著者さんは過去、子育てに苦労されたご経験が?『目撃者』もよかった。あるよね~仕事のミス、「なんとかごまかせぬものか」って。そんなボタンの掛け違えがどんどん緊迫感帯びてくる。ラストの表題作、田舎の閉そく感を描き切ってくれたね。最後まで我慢をして死んでいった祖母が哀しかった。2024/08/10
mae.dat
326
芦沢央許すまじ(嘘)。表題作を含むパターンのバラエティに富んだイヤミス短篇5作。身構えつつ読んだけどさ、どんどん悪い方へ転がる点が流石と言うか、気が重くなるね。最後はどんな心理状況だったの。主人公氏では無く周りの登場人物がね。それを考察してみたり、その後を考えるのは脳が拒絶しているみたい。余韻まではとても楽しめず。まだまだ甘ちゃんやな。特に育児に勤しむ『姉のように』かな。状況をコントロールできなくてね。辛い。でも嘘だと思うよ。反抗期は確かに大変だけど、巧く乗り切るとボーナスステージに入るから。頑張って。2024/10/15
あきら
324
面白かった。 その先の曲がり角に何かがある。 それだけは分かるんだけど、見たくないような見たいような、みたいな感じ。 すべての話が秀逸な展開で、米澤穂信さんの満願を彷彿とさせた。 2021/12/02
鍵ちゃん
293
「これでお前も一人前だな亅入社3年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤発注をしていた。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華された5編からなる短編集。どれも短編だけど深くて重い話でした。中でも「姉のように亅は誰もが子育て中一度は苦しむ経験であり、心にグサッと刺さってきたな。2021/02/20