出版社内容情報
卑しい人間が出世し理想を抱く人間が没落していくのは何故なのか。ここから、この国の近代文学は始まった。悩める日本人を描いた不朽の古典的名作。
江戸文学のなごりから離れてようやく新文学創造の機運が高まりはじめた明治二十年に発表されたこの四迷の処女作は、新鮮な言文一致の文章によって当時の人々を驚嘆させた。秀才ではあるが世故にうとい青年官吏内海文三の内面の苦悩を精密に描写して、わが国の知識階級をはじめて人間として造形した『浮雲』は、当時の文壇をはるかに越え、日本近代小説の先駆とされる作品である。
内容説明
江戸文学のなごりから離れてようやく新文学創造の機運が高まりはじめた明治二十年に発表されたこの四迷の処女作は、新鮮な言文一致の文章によって当時の人々を驚嘆させた。秀才ではあるが世故にうとい青年官吏内海文三の内面の苦悩を精密に描写して、わが国の知識階級をはじめて人間として造形した『浮雲』は、当時の文壇をはるかに越え、日本近代小説の先駆とされる作品である。
著者等紹介
二葉亭四迷[フタバテイシメイ]
1864‐1909。元治元年、江戸市ヶ谷生れ。本名長谷川辰之助。東京外国語学校露語科に学ぶ。1886(明治19)年、坪内逍遙と会って『浮雲』を書きはじめ、’87~’91年にかけて刊行。’89年内閣官報局雇員となり、’99年、東京外国語学校ロシア語科教授となる。1902年、東京外国語学校を辞し、ハルビンへ向かう。’04年、大阪朝日新聞社東京出張員となり、『其面影』『平凡』などを連載。’08年、朝日新聞露都特派員としてペテルブルクに向かう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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