新潮文庫
富士には月見草―太宰治100の名言・名場面

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  • サイズ 文庫判/ページ数 209p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101006192
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

出版社内容情報

生誕100年記念出版。初心者と熱烈なファンのための太宰の言葉。これ1冊で魅力のすべてがわかります。

27歳の処女作品集のタイトルは『晩年』。冒頭は〈死のうと思っていた〉――太宰の作品は筆名、書名、書き出し、引用、どれも読者の意表を衝くが、これらはすべて周到な計算によっている。長年作品を読み続けた作家が、とっておきの100場面を選び、解説する。内心の告白と同時に外見に執拗にこだわる100年前の文豪の感性は、実は現代の若者とそっくり同じである。生誕100年記念出版。

内容説明

27歳の処女作品集のタイトルは『晩年』。冒頭は「死のうと思っていた」―太宰の作品は筆名、書名、書き出し、引用、どれも読者の意表を衝くが、これらはすべて周到な計算によっている。長年作品を読み続けた作家が、とっておきの100場面を選び、解説する。内心の告白と同時に外見に執拗にこだわる100年前の文豪の感性は、実は現代の若者とそっくり同じである。生誕100年記念出版。

目次

死のうと思っていた―「葉」
役者になりたい―「葉」
老いぼれた人の横顔に似ていた―「魚服記」
鮒はじっとうごかなくなった―「魚服記」
たけは又、私に道徳を教えた―「思い出」
腰が痛いからあんまやっている―「思い出」
自分をいいおとこだと信じていた―「思い出」
何ごとにも有頂天になり易い性質―「思い出」
私は散りかけている花弁であった―「思い出」
ひとを笑わせることの出来る表情―「思い出」〔ほか〕

著者等紹介

太宰治[ダザイオサム]
1909‐1948。青森県金木村生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中非合法運動に関係するが脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中を図り、ひとり助かる。1935(昭和10)年「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年第一創作集『晩年』を刊行。この頃パビナール中毒に悩む。’39年井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、「富嶽百景」などを書く。戦後『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺

長部日出雄[オサベヒデオ]
1934(昭和9)年、青森県生れ。新聞社勤務を経て、TV番組の構成、ルポルタージュ、映画評論の執筆等に携わる。’73年『津軽世去れ節』『津軽じょんがら節』で直木賞、’80年『鬼が来た棟方志功伝』で芸術選奨、’87年『見知らぬ戦場』で新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いたろう

60
桜桃忌に。太宰治の名言集、というより、もっと長い小説の引用と、太宰と同郷の青森県出身の筆者による解説と言うか、太宰治論から成る本。月見草と聞くと、ついつい「富士には、月見草がよく似合う」と口をつきそうになる程、「富嶽百景」の中のこの一文は、有名だが、本来、日中に月見草が咲いているはずがないという指摘に、あっと驚いた。自然体のような文の中に、こんな太宰マジックがあったとは。また、「かれは、人を喜ばせるのが、何よりも好きであった!」という文が、頭に残りつつ、どの小説の文か忘れていたが、「正義と微笑」だったか。2020/06/19

かおりんご

44
太宰の作品から、著者が思う名言を集めたもの。まだ読んでいない作品もあるので、読んでみようという気になる。自分だけの一言を探したいなぁ。2015/05/20

Y2K☮

31
入門書であり解説書。彼の文学を私小説として読むのは誰しも通る道。真実を知って離れるか恋が愛へ昇華するかはその人次第。本書は後者である長部氏が前者の予備軍に向けて書いた一冊かもしれぬ。正直者と大嘘つきは両立する。本当は皆わかってる。太宰は隠さない。我々の代行者であるかのように多様な過ちを犯し、恥をかく。しかもその過程を秀逸な虚構に仕立て、読者を楽しませる。だから一連の作品を読んで「よかった。自分の方がマシだ」と安心することに良心の呵責は不要。むしろそれが彼の願い。ゆえにこそ太宰治は永遠に書店の棚に残るのだ。2023/11/28

ヒロミ

24
おもしろかった。後書きにもあるように、ハンディな太宰治辞典とも言える。太宰治作品の厳選名場面100を抜き出し著者が解説を加えた本。読みやすく、ビギナーにも入門書として最適かと思う。著者の太宰愛がひしひしと伝わってくる。薄い本だしもっと内容がスカスカかな〜とあまり期待していなかったのだがかなり楽しめた。読んだことのない作品も読みたくなる。表紙の富士と月見草の装画も素敵。太宰の文庫装丁はタレントや俳優じゃなくてちゃんとしたイラストレーターや画家の人が描いた装画のほうが好きだ。2015/07/05

冬見

17
長部さんって本当、太宰が好きね。って内容。取り上げられた作品は一応全て読んだことがあったので、他の人の考察・研究を見ることができるのは楽しかった。桜桃忌のエピソードは笑った。わかる。わたしもそう思ってたこと、あるもの。太宰の文学には「自分が一番分かってる」「これは自分だ」って思わせる力がある。漱石と太宰の共通性の話は面白かった。落語かあ。2018/04/06

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