内容説明
「わかりきったことじゃないかね」と誰かが言った。ある夜、主人公の前に顕れたのは「イデア」だった。イデア!?山荘のスタジオで一度は捨てたはずの肖像画制作に没頭する「私」の時間はねじれ、旋回し、反転する。不思議の国のアリス、上田秋成「春雨物語」、闇の奥でうごめく歴史の記憶、キャンバスの前に佇む美しい少女―多彩な人物と暗喩が織りなす物語は、さらに深く、魂の森の奥へ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきぽん
188
この主人公の画家は「永遠の80年代の30代」の作家である村上さんさんの分身ではないだろうか?そしてその絵画観は、そのまま村上さんの文学観でもあるにちがいない。絵画も文学も、芸術とは理屈を排除して「ただ、そこにあるもの」だ。村上さんが好きになってきた。女性観は嫌いけど笑。2019/04/14
tokko
155
第二部の文庫が届くのに合わせて読みました。だんだんと流れに巻き込まれていくにつれて、いろんな方面に枝が伸びていくようです。その枝があらぬところで繋がったり途中で切れてしまったり妙なところで妙なものが飛び出したり。まだ3巻は手元にあらないけれど楽しみです。2019/03/28
ミッフー
134
かなり時間をかけ、夜まで予定のない岡山のホテルの部屋にて1部下巻完読💦物語も呼吸をするが如く、静かにそして確実に流れていく。ただ方向性は常識を異にする非現実的村上ワールドへ😅騎士団長の絵を借り身にしているイデア(wikiによるイデアとは「我々が肉体的に感覚している対象や世界とはあくまでイデアの《似像》にすぎない」と記)は変な言葉を発し、無い=有るではない=あらない🤪免色氏の実娘?秋川まりえ12歳も子供と思えぬ変な神秘的魅力😍1Q84の教祖の娘と相通じ興味をそそる👀2部発売日28日が待ちきれん🤺2019/03/22
白いワンコ
133
分冊されて1/4なので、感想めいたものはまだ。10代20代の頃のように、自分に必要な小説とは感じませんが、しっかり楽しめています2019/03/08
かみぶくろ
119
空間的な意味で動きが少なく、ほぼ、山にある自分の住む家とその周辺だけで物語が進行する。なのでなんだかすごく思索的な小説に感じる。にもかかわらず、滑らかな文章のためか、するすると心地よく頭に入ってくるから不思議だ。空間的な動きは少なくても、思索の射程は歴史や哲学(イデア・・)に向いていて、とても広く、深い。第2部も早く読みたい。2019/03/23
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