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出版社内容情報
人は漫画を生きるのか。
大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。
理想の漫画誌を作るため、
自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。
仕事か、表現か、それとも友情か。
漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、
東京の空の下、それぞれの人生が交差する。
松本大洋が初めて描く漫画家漫画、初めて語られる創作哲学。
これを読まずに松本大洋を知ることはできない、必読の一冊。
【編集担当からのおすすめ情報】
『ルーヴルの猫』で米国アイズナー賞を受賞し、世界中で評価が高まる松本大洋氏の最新作。ビッグコミックオリジナル増刊号で絶賛連載中の『東京ヒゴロ』待望の単行本第1集です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
69
30年務めた漫画編集の仕事を主人公・塩澤が退職するところから始まる新しい松本大洋ワールド。静かに、静かに、何かが沈殿するように重たく暗く、熱い想いが真っ黒に焦げ付くようで、その分厚い静けさに圧倒される。描く者、それを導く者、角度違いの漫画への情熱や物語を創るという狂気の世界を垣間見ることができる。擦り切れてしまい作品が空っぽになってしまった作家、情熱が空回りする乱暴で臆病な作家、長年創作の現場から離れていた作家、それぞれの事情や想いが新たに走り出す。2021/09/29
キク
63
素晴らしい作品を創作する作家を「天才だ」でまとめてしまうのは、安易なラベリングで逆に失礼じゃないかと思っている。思ってはいるんだけど、、、どうしても「松本大洋は天才だ」と思ってしまう。その松本大洋が、マンガ出版業界を舞台に中年マンガ編集者と、かつて天才と言われた漫画家達が新しい雑誌を創刊しようとする物語を描いている。当然、素晴らしい作品になっている。不器用だけど誠実にマンガに向き合う中年編集者が、なんか「ピンポン」のスマイルが社会にでた姿に思えてきて、すごく感情移入してしまう。大人に響くマンガでした。2022/01/21
天の川
51
新作が読めて嬉しい。立ち上げた雑誌の失敗に責任を感じて退職した漫画編集者。自分の描きたい作品と世間の受けのはざまで苦しみ、新たな作品を生み出すのに七転八倒する漫画家たち。文鳥と会話し、こよなく愛する漫画本に埋もれて生きる塩澤さんは、彼ら個性豊かな漫画家達と真っ直ぐに誠実に向き合う。自分の納得のいく雑誌を作ろうと考える塩澤さんが依頼する漫画家達は挫折感にまみれた人々・・・彼らの物語がこれから始まる。本当に楽しみだ。2021/09/07
キジネコ
43
30年出版社のマンガ編集者として勤務した塩澤が「私はそこにいるに値しない人間だ」と辞職します。勤勉で実直を文字どおり作家は絵に塩澤を具現します。仮構の世界の仮初の役割を担った塩澤が現実を真っ直ぐ見つめる物語が始まります。熾烈な競争の世界で摩滅し、本来の輝きを失った、忘れていた才人達の胸中の残り火が塩澤の真っ直ぐな視線と言葉に煽られます。彼らの胸の奥に往来する感情は痛みなのか?希望なのか?そして読者も仮構の世界で生きる自身を顧みて遠くを、近くを眺める事になる。何度も云いますが松本大洋は唯モノではないです。2023/05/25
Tenouji
42
2022年のGW終盤に相応しい内容だった。理想主義とは『ナンバー吾』で決別したと思っていたのだが…やはり、そういうことなのか、と思う次第。「Man shall not live by bread alone.」2022/05/07