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出版社内容情報
せつなくも温かい少年少女の成長物語
世界大戦が終わって、少年たちは生まれた。
まだ誰も、そのあと「第二次」が起こるとは知らなかった頃――
ここは第二次大戦前のフランス。
ドイツとの国境に近い町。
いつも明るい少年モモが、
あきらめと悲しみにまみれた人々を少しずつ変えてゆく。
彼の笑顔と勇気は町の子供たちを動かし、
大人たちの丸まった背中にも、そっと寄り添うのだった。
しかしモモには、ある秘密があって……
差別と分断、見て見ぬふり、忍び寄る不安。
「やがて悲劇を迎える時代」に生まれた少年少女の、
切なくも温かい友情と成長の物語。
――誰かの「花」を、踏みにじることなかれ。
描き下ろしカラーイラスト4p収録!
〈 編集者からのおすすめ情報 〉
『アルティストは花を踏まない』は、
新鋭・小日向まるこ氏の紙媒体デビュー作です。
あたたかで繊細なタッチと、キャラクターの豊かな表情、
色彩が浮かぶような陰影――
懸命に生きる少年少女の姿や
美しいフランスの町並みを、
描き下ろしカラーイラストとともにお楽しみください。
経済が冷え込み、世論は偏りを見せ、
人々の間には差別や分断が目立つようになった、
1930年ごろのヨーロッパ。
……そこには、現代の日本を垣間見ることができるかもしれません。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
104
フランスの小さな町。少年少女たち。不穏な色がするのは、その時代背景。第一次世界大戦のあと、第二次世界大戦の前。ユダヤ人であることは、静かに、着実に、明るい明日をつぶしていく。ここで芽生えた彼らの友情が、不幸を乗り越えひっそりと花を咲かせる続編を読みたい。その結末以外は読みたくない。素晴らしいコミック。2019/05/31
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
33
繊細かつ力強いタッチの絵と、切なくも温かいストーリーの雰囲気との調和が抜群の良作だと思う。 日常から離れてじんわり温かい気持ちになりたい人にオススメです。2019/09/29
ぐうぐう
24
大戦と大戦の隙間の時代。大人達は、戦後の疲弊の中で暮らし、さらに忍び寄る不穏に怯えている。子供達は、そのような大人の事情を認識できてはいない。けれど、ゆえに、世界が少しずつおかしくなり始めている気配には敏感だ。大人にとっては、能天気に映る子供達の無邪気さだが、それは子供達からしてみれば、時代の流れに抗おうとする行為に他ならない。地面に咲いた名もなき小さな花は、子供の背丈だからこそ気付くことができる。花を踏まないアルティスト達は、荒んだ大人達の心を、そして世界を変える力を持つ。いつの時代も。2019/05/21
JACK
13
△ 第一次世界大戦後のフランスの小さな町を舞台に描かれる物語。男がたくさん戦死して働き手は足りず、景気は悪い。経営が悪化して閉鎖されたボウリング場。戦争で廃墟になった住所宛てに届くヒナゲシの絵の手紙。戦死した夫が帰ってこられるように道をレンガで直す妻。死んだ父の代わりに母を支えようとする男の子。ユダヤ人の家に石を投げた少年。孤児院に預けられた異端の娘。人種差別で憎み合う人々を打ち解けさせようとする小さな芸術家たち…。美しい絵で描かれているが、ぼんやりした話ばかりで盛り上がりに欠ける。もったいない。2019/09/18
S.Mori
7
第二次世界大戦がはじまる頃のフランスの話。その頃ひたむきに生きた子供たちを丁寧に描いていくところに好感が持てた。一つ一つのコマに込めれた優しい情感が素晴らしい。例えば、登場人物の一人アランが「しょっぱい」と言ってソーセージを食べながら泣く場面など、心にずっと後まで残りそうな箇所が多かった。アランはお母さんが一生懸命働いたことを知っているのだ。題の「アルティスト」はアーティストのことだ。一生懸命に生きている子供たちが「アルティスト」と讃えられるラストは胸が熱くなった。2019/04/30