出版社内容情報
作家と数学者が、それぞれの好むことば「素心」と「素願」を軸にして、その体験と思索の軌跡を語り合った、混迷の現代に光を投げかける待望の対談集。
作家・水上勉氏と、数学者・広中平祐氏が、７時間余にわたっての白熱の対話録。両氏が中国訪問のさい見聞したことから、中国の偉大な数学者であり教育者である李国平氏の話や、アメリカでの禅の流行、日本とアメリカの若者たちの考えの違い、〈学ぶ〉とはどういうことなのか、数学の世界における情の意義など、人間としてこれからの世をどう生きるかについて話し合う。
目次
学問をするこころ（情と理の両面をもつ数学者；国柄による競争心理の違い；「中国は日本の父だ」；“温石”を抱いて極北を歩く；有用からのサービス精神；数学は自然の何かで解ける；〈只管打坐〉の境地に生きる；パイオニアはいつも孤独だ）
学問の素願の人生（一滴文庫の文は文化の父；特異点解消の定理；ふるさとをおもう心の土壌；学問素願の人生；学問は簡単に答えが出ないもの；もっといいものがあるということを見せる考え方；人間は手を尽くす人に負ける）
対話を終えて（「素心・素願」にふれて；創造の世界をひらく）
