出版社内容情報
今、見えてきた日米関係「終わりの始まり」
戦後、アメリカに追随するばかりだった政治的「草食系」の日本人。しかし、北朝鮮に対する「テロ支援国家指定」解除や福島原発事故の「トモダチ作戦」で暴かれた真実は、「アメリカはいざという時、本当に助けてくれるのか」という疑問を生じさせ、日本人に”対米自立意識”が芽生え始めた。
この意識は大ヒットしている映画『シン・ゴジラ』にも読み取れる。
気鋭の論客が、近年の日米関係を政治や文化の面から検証。
「アメリカは同じ価値観を持つ同盟国」という幻想を一刀両断にする。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の古谷氏は、政治やネット右翼などを論じる、いま注目の若手評論家ですが、文学や漫画、映画の知識も豊富です。
本作品でも、映画では『シン・ゴジラ』から、『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』、1915年のアメリカ作品『國民の創生』を紹介。漫画では『沈黙の艦隊』やつげ義春の作品、文学では筒井康隆や村上龍の作品を俎上に載せて、対米意識の変化を論じます。今までなかった、2010年代の「日米関係論」です!
古谷 経衡[フルヤ ツネヒラ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
16
トランプ大統領出現直前に出された本。正直、著者の立ち位置がよく分からない本だった。内容は至ってシンプルで、アメリカは日本を本気で守る気なんかないから、自分で何とかしようという主張。それを3.11と、その「再現」としての『シン・ゴジラ』あたりから説き起こすが、『シン・ゴジラ』についてはあまりに表層的で加藤典洋の方がずっと深い。「おわりに」を読むと核武装を含む自衛論とも思えるが、本書でそれが展開されているわけでもない。面白いところもあることはあるが、全体に内容が薄く、認識もあまり深くない今ひとつな本と思う。2017/09/24
有坂汀
9
評論家・著述家の古谷経衡氏がここでは「福島原発」「シン・ゴジラ」「ドナルド・トランプ」をなどを軸に日米同盟の在り方を問う刮目の書が本書であります。古谷氏は本書の中で2016年のヒット映画『シン・ゴジラ』について論じており、隠れたテーマである"対米自立意識"について論じておられたり、その世界観にも多く影を落としている「3.11」並びに福島原発事故で行われた米軍による「トモダチ作戦」の裏側での行動を報道などで耳目するたびに「アメリカは、いざという時、助けてくれるのか」と言う疑問が芽生えたことをここに記します。2025/02/08
九曜紋
8
米国にとっての9.11がそうであったように、3.11は日本人の既成概念の根本的変容を迫る出来事であった。平時においては「米国が守ってくれる」という根拠無き確信を懐きながら、原発被災による究極の危機にあって米軍は自らの安全のために逃げたのであり、国家存亡の危機を回避したのは消防士、自衛隊員など日本人であった。「自分たちのことは自分で守る」このことを認めたくない対米依存派がいることを著者は嘆く。トランプ大統領誕生は世間の大方の見立てとは逆に対米自立の好機としなければならないとも。34歳の若き論客の舌鋒は鋭い。2016/12/02
犬養三千代
6
トランプが大統領になる直前に出された一冊。そのトランプの主張「自分のくには自分で守れよ」に対する日本国内の左右陣営の混乱も描く。リベラルは反米「普天間基地から出ていけ」保守派は「行かないで〜」 フクシマの3·11の時に米軍は逃げた!?当然じゃん。日本の守りを日本だけでする。当たり前のこと。さて、20万自衛隊員だけでは無理筋だと思う。左右の方々は「徴兵制」も視野に入れてるのかなぁ???2019/12/31
caniTSUYO
2
戦後アメリカの傘の下、自国の態度表明をしてこなかった日本と日本人を政治的「草食系」と冠して、そんな日本と日本人が3.11(とトランプ政権樹立)を契機に、独り立ちしようとする機微を描写した至極真っ当な対米自立論。 戦後復興に置ける日本の親米の歴史や政治的自立をあえてしない構造、トランプへの右派左派の戸惑い、3.11以降のレーガン保守の無効性とそれによる戸惑い…実にわかりやすい。 主張としては古森義久の「自明の摂理」というワードに依拠してて重武装中立なのだと思うが主張としてのオリジナリティも欲しかったかな。2018/09/08