出版社内容情報
雅な万葉歌に秘められた、藤原氏への怨念
「あをによし 寧楽の京師は 咲く花の 薫うがごとく 今盛りなり」と歌われた平城京。しかし、花の盛りを謳歌していたのは、ひとり藤原氏だった。8世紀初頭、大宝律令の制定にかかわった藤原不比等が、その法を自家に都合よく解釈し、駆使することで、国家の中枢へと昇り詰めていく中で行われた平城京遷都(710)。そこには一体どんな意味が隠されていたのか? そして、藤原氏だけが栄えたこの時代、天皇の外戚の座を手に入れるためにどんな策謀がめぐらされ、いかなる真実が歴史から消し去られたのか?
シリーズ第5巻では、『日本書紀』の次なる正史『続日本紀』の時代に突入し、藤原京から平城京に都が遷った8世紀の歴史をつぶさに振り返る。これまで「謎なき時代」とされてきた「品行方正」な奈良時代。しかし、『万葉集』に載る歌の数々が、平城京の闇をあぶりだしている。飛鳥の都を懐かしがる人々、藤原氏におもねり命乞いをする古豪の貴族、なにものかに怯える女帝、聖武天皇を操っていたとされる不比等の娘・光明皇后の心情……。『万葉集』は大伴氏によって編まれた「正史告発の書」と見る著者が、万葉歌を手がかりに歴史の真実に迫る。
関 裕二[セキ ユウジ]
著・文・その他
内容説明
第5巻は正史『続日本紀』が隠蔽した藤原氏の悪行を明らかにする。これまで「謎なき時代」とされてきた平城京の世。しかし、そこには勝者・藤原一族の陰謀と横暴が渦巻いていた。そして、恐怖政治の犠牲になった人々は、その憤怒と悲嘆を和歌に残したのだ。飛鳥の都を懐かしがる人々、藤原氏に命乞いする名門貴族・大伴旅人、何ものかに怯える女帝・元明天皇、聖武天皇を操っていたとされる光明皇后の真情…。『万葉集』は編者による“正史の嘘を告発する書”と見る著者が、歌を手掛かりに歴史の真実に迫る。
目次
第1章 藤原京の時代(古代史の本当の転換点は『続日本紀』の時代;消された歴史を『万葉集』から読み取る ほか)
第2章 平城京は藤原氏の都(なぜ藤原京は短命だったのか;天皇を見下ろす平城京 ほか)
第3章 長屋王の変(藤原の誤算は聖武天皇の豹変;天皇と「内臣」を同等にするあくどい手口 ほか)
第4章 光明子と県犬養三千代(長屋王の変後の政情不安;変化する行基への対応 ほか)
第5章 「藤原の女」の苦悩(道鏡を天皇にしようとした称徳天皇;醜聞にまみれた女性たち ほか)
著者等紹介
関裕二[セキユウジ]
1959年、千葉県柏市生まれ。歴史作家。仏教美術に関心を抱いて奈良に通いつめ、独学で日本古代史の研究を始める。91年に『聖徳太子は蘇我入鹿である』(晋遊舎新書)でデビュー。以後、大胆な推理と緻密な分析で、ユニークな視点から古代史を読み解き、意欲的に執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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