出版社内容情報
15世紀の半ば、大アンデス山脈のまっただ中に出現したインカ帝国。1532年「白い人間」たちの侵略によって滅亡するまで、この「帝国」の秩序としくみはどのようであったか。日本とペルーの国際的権威が共同執筆、「帝国」の全貌を初めて解明します。
インカ帝国解明の学問的アプローチは、1960年代以降急速な進展を見せた。本書は、ペルーと日本の二人の国際的権威が一般読者のために構想5年、最新の研究成果をもれなく取り入れて共同執筆し、アンデス秘境国家の全体像を鮮明に提示する。本書のためペルー、ボリビア、エクアドル3か国の主要全遺跡の特撮を敢行、本文中に写真をふんだんに収録して帝国100年の興亡をビジュアルに再現する。
内容説明
1532年、スペイン人の侵略によって潰え去った黄金帝国100年の栄光とはなにか。構想5年、最高の執筆者と写真家が本格的に取り組んだインカ帝国の決定版。アンデス秘境国家の全貌が最新の研究成果と特撮により実像を結ぶ。
目次
第1章 タワンティンスーユへの道
第2章 帝国の首都クスコ
第3章 インカの社会と政治
第4章 インカ経済の構造
第5章 インカの宗教と芸術
第6章 征服後のインカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
34
【始原へ24】インカ帝国時代の遺跡は、征服したスペイン人が破壊し特に金製品は徹底的に略奪したのでほとんど残っていない。アンデス文明として紹介される遺跡は、ほとんどが20世紀以降に発掘された前インカ帝国時代のものだ。インカ帝国についての著作も征服後のスペイン人やスペイン語を学んだ先住民による膨大な記録(クロニカ)にそのまま依拠するものが多い。そうした中、ペルーのインカ帝国研究者と増田義郎の共著として日本向けに出版(増田は翻訳と編集役)された本書は、もっとも総合的な視点から迫った著作と評されている(関雄二↓2021/07/04