出版社内容情報
孝謙天皇と道鏡の恋愛事件の背景とは?
孝謙天皇の祖母である藤原宮子が海人の娘であるという道成寺に残る宮子出生伝承は事実でないかと著者は指摘する。孝謙天皇の道鏡への恋も、祖母の海人の血から発した仏教的な平等思想のあらわれであることを論征する。
内容説明
藤原氏権力の謎を検証。古代女帝論いよいよ佳境へ!孝謙天皇と道鏡の恋愛事件は身分制崩壊の“毒”を含んでいた。
目次
第14章 聖武天皇―母の出自
第15章 光明皇后―もう一人の“女帝”
第16章 孝謙天皇―平凡な内親王が女帝になるとき
第17章 孝謙女帝の平等思想
第18章 道鏡―孝謙女帝の恋人
第19章 道鏡と皇位
第20章 「天皇権力」を復活させた女帝
第21章 記紀神話と「天皇」
第22章 象徴天皇制と律令
第23章 天皇権力の不在―法の魔力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさしぶり
7
天皇親政を可能にする条件①同じ程度の権力を持つ貴族が並存し、その権力バランスの上に天皇権力が存在する②貴族がその権力を完全に喪失し特権身分を有しない官僚によって天皇権力が支えられる③力のある皇族家が天皇の周りに存在しその皇族家が天皇権力の支えになる。出生が怪しく自身に素養がなければ時の権力者を頼み、与し易くなり権力者の都合の良い法律が通る。権力者は地位の逆転を図る。吾が子可愛い、疑心暗鬼でほかの皇子を潰しまくる。p286の弊害ばかりだと思う2019/05/31
Gen Kato
2
再読。これまで異様に歪められてきた孝謙女帝と道鏡の関係についての考察がたのしい。天武系の最期の天皇であると同時に、「蘇我氏系」が擁立をはじめた女帝の最後でもあるんだよね… 2015/07/17